1905-1913年とは? わかりやすく解説

1905-1913年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 05:21 UTC 版)

ローベルト・ヴァルザー」の記事における「1905-1913年」の解説

ベルリン時代生産的に始まる。1906-1909年に小説タンナー兄弟姉妹』『助手』『ヤーコプ・フォン・グンテン』が完成したクリスティアン・モルゲンシュテルン最初の小説タンナー兄弟姉妹』を読んで感激し平行して読んでいたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』比較したのち、ヴァルザーの3小説はすべてブルーノ・カッシーラー出版から刊行された。 3小説出版並行してヴァルザーは数多く散文作品新聞・雑誌発表し、これらの散文作品は、すでにビール移り住んでいた1913/14年になって著作集として刊行することができた(次章参照)。 ベルリン時代特徴的なのは「モデルネの詩学」であり、それは「間テクスト連関および作品内連関によって、また同時代のディスクルスとの対峙の中で」 成立し大都市反復するモチーフ中に実現されている。「ベルリンはモデルネの都として、ヴァルザーの文学的風景トポスになる。」 ヴァルザーは兄カールによってベルリン芸術・文学界へと導かれベルリン分離派出入りしヴァルター・ラーテナウ(Walther Rathenau) やパウル・カッシーラー(Paul Cassirer)、エフライム・フリッシュ(Efraim Frisch) などの影響力ある人物出会ったしかしながらこうした華やかな富裕層社交グループ彼の創作一部とはならなかった。彼の作品には、「上昇する市民階級同一化要求」 に添うようなものは何も含まれておらず、彼はむしろヴィルヘルム時代ベルリンの生を下方から、小市民のらくら者の視点描いた。しかしそうすることで彼は、社会的文学的に自らをますます脇へと追いやった。影響力の強い社会に彼が精妙背を向けていることはテキスト反映され年々いっそう強く強調される。『アッシンガー(Aschinger)』において彼は次のように書いている: 「口をいっぱいにしていると、同時にその人の目は、ちょうど扉を押して入ってくる者を見つめる。人々は笑うことすらせず、わたしも笑わないベルリン来て以来、わたしは人間らしさ滑稽だと思うことをやめた。」(ローベルト・ヴァルザー「アッシンガー」) 「憂慮すべきこと」では次のとおり: 「彼らは了見の狭い確信をもって自分は他の人たちより価値があるものと誤解している。まったくもって素朴に、彼らは自らを教養人だと称し、鼻を得意げに上に向ける。哀れな人たち。高慢どれほど無教養未熟であるか、自分をきちんと判断する能力のなさに支配された者がいかに酷い教育受けてきたか、彼らに理解できればよいのだが。」(ローベルト・ヴァルザー憂慮すべきこと」) この「リアリズム」は小説助手』にもっとも明確に現れているが、しかし『ヤーコプ・フォン・グンテン』に先立つ他のテキストでは、このリアリズム世界は、ロマンチックにもメルヒェンチックにもなることなく理解不可能な怪物へと変貌し、それは日常凡庸な細部伴いつつも、それゆえにこそさらに大きな、全く見通すことのできない謎を投げかけるフランツ・カフカ初期テキスト似たような機能持っているが、そのカフカがとくにこの時代のヴァルザーの仕事称賛したのも、不思議ではない。 批判的なテキスト並んで大都市映画館劇場、そしてまた遊歩自然観察日常観察ベルリン時代テーマであった

※この「1905-1913年」の解説は、「ローベルト・ヴァルザー」の解説の一部です。
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