15代中川の懲戒処分による部屋の閉鎖
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「中川部屋」の記事における「15代中川の懲戒処分による部屋の閉鎖」の解説
2020年7月10日、15代中川が行き過ぎた指導(パワーハラスメント)をしていたことから、日本相撲協会が引退勧告以上の懲戒処分を検討しており、中川部屋は閉鎖される見通しであると報じられた。6月までに相撲協会コンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)が師弟の聞き取り調査を行ったところ、所属力士が日常的な暴力と差別的な暴言を訴えた。15代中川は同委員会の聴取に対し、当初は「手は出していない」と話していたが、その後に退職願を提出した。相撲協会は、調査の途中であるためこの退職届は預かりとしている。 同月13日、緊急理事会で15代中川に対する処分が協議された。コンプライアンス委員会の調査では以下の事案が判明しており、このことから同委員会は、15代中川の責任は重大であり、部屋の運営をさせるべきでないと指摘した。 2020年2月、ちゃんこを運ぶ弟子の不手際に対し、背中を蹴り、拳で殴打した。 同年3月場所中、宿舎に届いた荷物を部屋に転送する手配をした弟子に不手際があったと、背中を蹴り、左顔面を殴打した。 同年3月場所中、タクシーで移動した弟子が車内で居眠りをしたと腹を蹴り、胸を殴打した。 2019年夏頃、出稽古から帰ってきて挨拶をした弟子のこめかみを殴打した。 (この3人に対し)「ぼんくら」「首にするぞ」「殺すぞ」「本当にうざいんだよ」などの暴言を日常的に繰り返していた。 その一方、暴力の際に道具を使用しておらず、弟子にけがはなかったこと、15代中川が深く反省しており、弟子も厳罰を望んでいないことから、退職勧告・懲戒解雇は重すぎると判断し、降格処分が妥当であるとする意見を答申している。これを受けて、理事会は15代中川への処分について、当初報道されていた退職勧告以上の処分ではなく降格処分(委員から年寄への2階級降格)にとどめ、中川部屋については閉鎖処分にすると決定し、発表された。 15代中川は時津風部屋へ転籍して部屋付き親方となり、所属力士9人は同じ時津風一門の時津風部屋(2人)、追手風部屋(1人)のほか、二所ノ関一門の片男波部屋(1人)、伊勢ヶ濱一門の友綱部屋(2人)、宮城野部屋(1人)、朝日山部屋(1人)の6部屋に転籍し、1人が引退した。呼出は二所ノ関一門の片男波部屋、床山(2人)は荒汐部屋と伊勢ノ海部屋へ、世話人は伊勢ヶ濱一門の宮城野部屋へ転籍した。力士だけでも6部屋に分割される形で移籍したというのは前例がない。 暴力やパワハラの要因として、21代春日山の協会退職以降を引き継ぐかたちでやってきた15代中川の指導に旧春日山部屋力士たちが馴染めず、温度差が出来て、師弟としての人間関係を築けなかったのではと推測する一部報道もあった。また移籍先は全て中川の独断で決められ、「せめて2人一緒にしてください」と懇願する力士もいたが、中川は聞き入れなかったと伝える報道もある。 中川部屋からの転籍の一覧 転籍先所属一門協会員時津風部屋 時津風一門 15代中川、吉井(西幕下54)、笹崎(東序二段85) 荒汐部屋 床仁(床山) 伊勢ノ海部屋 床春(床山) 追手風部屋 大國里(西序二段37) 片男波部屋 二所ノ関一門 旭蒼天(西幕下6)、耕平(呼出) 朝日山部屋 伊勢ヶ濱一門 吉澤(東序二段115) 友綱部屋 春日龍(東序二段35)、木山(西序二段48) 宮城野部屋 春光(東序二段4)、白法山(世話人) 引退 旭勇幸(西三段目60)
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