4度のトバカルデラの噴火
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 14:59 UTC 版)
トバカルデラは、過去非常に長い間の休止期間をはさんで4回の超巨大噴火(破局噴火)によって形成されたと考えられている。まず120万年前に最初期の大規模噴火が発生し (Haranggoal Dacite Tuff)、35 km3 DREのマグマを噴出した。84万年前に現在のカルデラ南東部に当たる部分を噴出源として超巨大噴火が発生し (Oldest Toba Tuff)、500 - 2300 km3 DREに達する噴火だった。次に50万年前にカルデラ北西部で大規模噴火 (Middle Toba Tuff)、マグマ噴出量は60km3 DREであった。最新の噴火が74,000年前に起き (Youngest Toba Tuff)、マグマ噴出量2,800 - 5,300 km3 DREに達する超巨大噴火となった。この噴出量は第四紀で確認される単一の噴火イベントで最大である。 74,000年前に起きた最新の超巨大噴火は、208万年前に起こったイエローストーンのハックルベリーリッジ・タフ(英語版)を噴出した超巨大噴火(マグマ噴出量2,450 km3 DRE)と並び、世界最大級の噴火であった。この噴火で火山灰はインドやパキスタンでは5-7cm、中国南部では数cmの厚さでそれぞれ堆積したうえ、東インド洋やベンガル湾の海底からやグリーンランドの氷床コアからも検出されており、地球の各地に降り積もったことが確認されている。 大量のマグマが噴出した結果地盤が沈下し、トバ湖を形成するカルデラができた。その後、他の多くの大型カルデラと同様にマグマの上昇があり、サモシール島(トバ湖内で最大の島)ができた。トバ湖は世界最大のカルデラ湖である。 現在のトバ湖は上記3つの噴火に基づくカルデラから形成されている。 1949年に、オランダの地球科学者レイナウト・ファン・ベンメレンは、トバ湖が火砕流堆積物の層によって囲まれたカルデラだと報告した。後の調査により、噴火による火砕流は周囲2万平方kmを覆い、中国南部で数cm、インド大陸でも15cmの厚さの火山灰層が報告されている。また、海洋学者により、東インド洋やベンガル湾でトバ湖にあるものと同じ火山灰が検出された。 この噴火と同時期に、ヒトDNAの多様性が著しく減少する「ボトルネック(遺伝子多様性減少)」が見られることから、この噴火で当時の人類の大半が死滅したという説もある(トバ・カタストロフ理論)。 この噴火の後、トバカルデラでは歴史に残るような大きな噴火はないが、何度か大きな地震が起こっている。1987年には南岸で地震が起こっている。また、スマトラ西沖に断層があり、何度か大きな地震を引き起こしている。その中には2004年のスマトラ島沖地震や2005年のスマトラ島西沖地震も含まれている。特に後者は、震源地がトバ湖から320kmと近い位置で起きていた。
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