鷹と鳩・施身とは? わかりやすく解説

鷹と鳩・施身

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 05:13 UTC 版)

シビ王」の記事における「鷹と鳩・施身」の解説

シビ族にウシーナラという高徳な王がいた。雷神インドラ帝釈天)と火神アグニは彼を試すために、インドラ変身しアグニ変身したアグニから逃げた演じ、ウシーナラ王のもとに庇護求めたは王に言った。「諸王はあなたのことを法(ダルマ)を本性とするものと言っている。なぜ法に背くことをするのか?」王は言った。「この庇護求めて来たのだ。このを守らねば、非法(アダルマ)となるだろう。この震え救い求めて私のもとに来た。助けなければ私は非難されるだろう。」言った。「すべての生き物食べ物によって生きている。人は財物失って生きるが、食事捨てた生きられない食べ物奪われたら俺は死ぬ。俺が死ぬと息子や妻も死ぬだろう。あなたがこの保護すれば多く生命を殺すことになる。それは法ではなく悪法だ。何ものをも妨げことなき法が真の法だ。」王は言った。「お前は法をよくわきまえている。しかし庇護求めてきたものを捨てることは正しいだろうか。お前の目的食べ物を得ることだが、他の方法によっても、もっと多く食べ物を得ることができる。牛やや鹿や水牛、何でもお前のために用意してやろう。」言った。「俺はや鹿や水牛なぞ食わぬ俺のために放せを食うものなのだ。もしあなたが道理知っているなら、バナナの幹に登ってはならない道理背いてならない)。」王は言った。「お前が望むなら、シビ族の王国統治してもよい。お前の望むものは何でもやろう。しかし庇護求めて来たこのをやるわけにはいかぬ。私にできることあったら言ってくれ。」言った。「そんなに愛しいなら、自分の肉を切って、秤にかけてと同じ重さの肉を俺にくれ。俺はそれで満足する。」王は言った。「今すぐ自分の肉を秤にかけてお前にやる。」 そして、王は自分の肉を切ってとともに秤にのせた。しかし秤の上はだんだん大きくなっていった。王は自分の肉をさらに切り続け、ついにつり合う肉が無くなってしまうと、王は自ら秤に乗った。すると告げた。「私はインドラアグニだ。我々は今日、法に関して汝を試すためにやって来たのだ。自分身体から肉を切り取るとはすばらしい。この世汝の名声は永遠に存続するだろう」(『マハーバーラタ』3.130-131) このマハーバーラタの話は、実はシビの父ウシーナラの物語であるが、写本によってはシビ自身の話としても収められている。この話は、後世、仏の布施称賛する比喩としてインド古典集『カター・サリット・サーガラ』や『大智度論』、『賢愚経』、『仏本行経』、『十住毘婆沙論』、『六度集経』など多数漢訳仏典好んで引用された。『ジャータカ』、『大智度論』、『賢愚経』、『衆経撰雑譬喩経』、『荘厳経』、『仏本行経』では、シビ自身の話となっている。 『ジャータカ』では、変身するのはアグニではなくヴィシュウァカルマンとなっており、次のように続く。自ら秤に乗ったシビ王の姿を見てインドラ感嘆して言った。「このように試してみたが、王はまった我が身惜しまなかった。まさにこの人こそ真の菩薩である。」それを聞いたヴィシュヴァカルマンは、インドラ神通力シビ王を元の体に戻すよう懇願すると、インドラ言った。「私の力は必要ない。王自らの誠の誓願によって、体は元通りになるであろう」そしてインドラは、菩薩シビ王)に尋ねた。「あなたは肉を割いて苦しんだが、心が沈むようなことはなかったのか。」シビ王言った。「肉は割かれ血は流れても、私の心には怒りなく、悩み沈むこともなく、人に尽くせ喜びがあった。生きとし生けるものすべてを救おうという、この真実誓願によって、この体も元通りとなることだろう。」そう言い終わるや、シビ王の体は元通りになり、天も人も皆これを見て歓喜した。そしてこれを見届け真実菩薩見出した二人天人は、天上界へと帰った。 『カター・サリット・サーガラ』では、変身したのはアグニではなくダルマ(神)となっている。

※この「鷹と鳩・施身」の解説は、「シビ王」の解説の一部です。
「鷹と鳩・施身」を含む「シビ王」の記事については、「シビ王」の概要を参照ください。

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