高次の審判員の設置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 09:51 UTC 版)
大相撲では、あくまで行司一人が審判を行うが、元幕内力士からなる勝負審判(審判部長はほとんどが元大関以上で他の審判も多くは幕内上位経験者)が置かれ行司の判定を審査するシステムになっている。なお、実例はめったに無いが控え力士も物言いをつけることができる。 かつては物言いがついた際の判定の是非を巡る協議は中改(現在の勝負審判に対する江戸時代の呼称)、勝負検査役(同じく勝負審判に対する明治の高砂改正組から昭和中期までの呼称)による肉眼判定のみであったが、1969年3月場所2日目に戸田と大鵬の対戦で軍配が大鵬に上がりながらも物言いがつき、協議の結果は行司差し違えで戸田の勝ちと判定されたが、戸田の右足の趾が俵を割っている時点で大鵬はまだ両足がギリギリ俵の内側に残っている写真や映像の存在により世紀の大誤審として問題になり、翌5月場所より予定を前倒ししてビデオ判定が導入された。 2019年5月場所において、栃ノ心と朝乃山の対戦において軍配が栃ノ心に上がりながらも物言いがつき、協議の結果は行司差し違えで朝乃山の勝ちと判定されたが、テレビ中継の映像では栃ノ心の右足かかとは土俵からわずかに浮き、出ていないようにも見えたが朝乃山に軍配が上がった。今回の事例はビデオ判定が導入された後だったが、大相撲では、現場の土俵下にいる審判の判断が最優先で、別室にいるビデオ係は「補足」という大原則がある。約6分間の協議の際、審判団からは「多数決」で判定を決める案も出された。しかし、ここで阿武松親方は「見えている親方が限られている中で、多数決はあり得ない」との理由で却下したという。審判長として、あくまでも「現場優先」の原則を貫いたとも言えるのだ。それだけに同親方が判定に自信を見せたのもうなずける。場所後の横綱審議委員会では「(委員から)物言いがついた相撲で審判長の説明を、もっと分かりやすくしてほしいという意見が出た」として、八角理事長に対して異例の改善要望が出される事態となった。改善要望が出た理由の一つとして、この取組は、栃ノ心は大関復帰がかかる10勝目、朝乃山は優勝がかかる大一番でもあったためである。このため、インターネット上などを中心にファンからは「誤審」との指摘が続出した。
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