駄洒落・語呂合わせによるジョーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 18:43 UTC 版)
「数学的なジョーク」の記事における「駄洒落・語呂合わせによるジョーク」の解説
数学(に必ずしもとどまる話では無いが)ではしばしば日常会話に用いるような単語を、数学的な特別の意味合いをもったジャーゴンとして用いる。これによって生まれる多義性を使って、ジョークを考えることができる。 Q.「数学者はなぜ国立公園が好きなんだい?」A.「天然の丸太(natural log→自然対数)があるからさ。」 この例では、national / natural の駄洒落と多義語としての log に掛けている。ここでの数学者が言う“天然の丸太”は公園とは関係なく、実は自然対数という数学的な概念のことなのである。 いくつか群論に関する知識を要する以下のような例はどうだろう。日常語をジャーゴンとして読むと質問の内容がまるで異なる内容になってしまってい、認識のズレが生じていることがお分かりいただけるだろうか(数学者が日常会話をまるで理解できないという意味ではない)。 Q. 「「紫」で連想(commute:可換の意味もあり)するもの言ってみて?」A. 「アーベル葡萄(grape→group=群)。」Q. 「じゃあ「薄紫」で連想するものは?」A. 「アーベル薄葡萄(semi-grape→semi-group=半群)」 これはよくあるグレープジョークと呼ばれるもので、紫=葡萄という連想をもってくるのだが、そこで grape と group を掛けて数学的な対象である群をジョークに持ち込んでいる。日常語としては「連想する」という意味を持つ commute が、数学的にはある種の(しばしば乗法や積と呼ばれる)二項演算が「可換である(交換法則が成立する)」という意味の専門用語として用いられているため、原文でしきりに「アーベル(の)」 (Abelian) という形容詞を持ち出しているのである(たとえば群演算が可換であるような群は可換群、あるいはアーベル群と呼ばれる)。もちろん、アベリアというスイカズラ科の植物があり、薄いピンク-紫の花弁を有するかどうかはまったく関係の無い話である。 次のように派生したパターンもある。 Q. 「限られた人から信仰される紫で連想するのは?」A. 「有限崇拝(finitely-venerated→finitely-generated→有限生成)アーベルブドウ。」Q. 「「栄養」で連想するのは?」A. 「アーベルのスープ(soup→group→群)。」 次は、起承転結が整っているという意味で完成度が高い話になっている。 人物 A:「1/cabin の積分は?」人物 B:「天然の丸太(natural log→自然対数)でできた小屋(cabin)。」人物 A:「不正解、答えはハウスボートだ。君は C (→sea→海)を加えるのを忘れている。」 前半は逆数関数 1/x の原始関数が自然対数関数 ln xであることに基づいたジョークになっている。後半は、学生などが、不定積分を書き表すときにを加えておく必要がある「積分定数」(通例 C で表される)をよく書き忘れてしまうという話を利用している。詰まるところ、 1/cabin の不定積分は "ln(cabin) + C(=sea)" つまり「海の上の天然丸太小屋」("A natural log cabin plus the sea") であって、そりゃ要するにハウスボートのことだろう、というのである。
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