しゅい‐だしゃ〔シュヰ‐〕【首位打者】
読み方:しゅいだしゃ
首位打者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/18 13:25 UTC 版)
首位打者(しゅいだしゃ、英: Batting Champion)は、プロ野球における打撃表彰(タイトル)の一つ。規定打席に達した打者の中で、打率が最も高い選手に与えられる。
概説
打撃部門において、最多本塁打、最多打点と並び主要打撃3部門ひとつに数えられる。これらの3タイトル全てを同一シーズンに獲得することを三冠王と言い、打者に対する最大の名誉となる。
最多本塁打(本塁打王)、最多打点(打点王)はそれぞれ本塁打、打点が減ることがない記録であり、打席数の多い選手ほど有利であるのに対し、首位打者は打率が増減するため、必ずしも打席数の多い選手が有利とはならない。そのため、僅差の首位打者争いがシーズン終盤まで続くと、首位打者をキープしている選手を打率が下がらないよう欠場させたり、守備をさせるだけですぐにベンチに下げたりして打席に立たせず、さらにはライバルと相対した時に四球で歩かせて打率を上げさせないようにすることがあり、物議を醸すことがある(詳細は故意四球を参照)。また逆に、僅差の首位打者争いで勝負すると美談として取り上げられることもある[1]。
台湾プロ野球などでは、打撃王と呼ばれることもある。宇佐美徹也によると、日本で首位打者が打撃王という別名でも呼ばれるようになったのは1949年にルー・ゲーリッグの半生を描いた映画『The Pride of the Yankees』(直訳:ヤンキースの誇り)が『打撃王』という邦題で公開されてからだと著書の中で触れている[2]。
例外規定
打者が規定打席に満たない場合でも、その不足分を打数に加算して(すなわち、規定打席に足りない分をすべて凡打であったとみなして)打率を算出し、なお最高打率となった場合、その打者がリーグの首位打者となる(公認野球規則9.22(a))[3]。
つまり、『安打数÷(打数+不足打席数)』の式で算出した打率が、規定打席到達者の打率1位を上回れば、規定打席未満でも首位打者と認定される。
なお、このとき残る記録は不足打席数を加えないときの打率である。
日本プロ野球
日本プロ野球の一軍では過去適用された例はない(なお、規定打席ちょうどで首位打者になった例は3例(1975年・白仁天、1981年・藤田平、1991年・平井光親)あり、いずれも規定打席に到達せずとも例外規定で首位打者になれるタイミングはあった)が、二軍では以下の選手がこの規定により首位打者と認定されている(所属球団はタイトル獲得時点)。
メジャーリーグ
メジャーリーグでは、1996年に規定打席に4打席不足していたトニー・グウィン(サンディエゴ・パドレス)がこの制度によりナショナル・リーグ首位打者になっている。2012年には、1打席不足のメルキー・カブレラ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)がこの規定に基づきナ・リーグ首位打者になるはずだったが、規定打席不足の原因はドーピング検査の陽性反応で出場停止処分を科されたことによるものであり、本人が首位打者を辞退したため、規定打席到達者で最高打率だったバスター・ポージーが首位打者となった。
その他
ベースボール・チャレンジ・リーグでは、2010年に大谷尚徳(群馬ダイヤモンドペガサス)がこの規定により首位打者になった。関西独立リーグ (2代目)では、2020年に大橋諒介(堺シュライクス)がこの規定により首位打者になった。
関連項目
脚注
首位打者
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「1910年のメジャーリーグベースボール」の記事における「首位打者」の解説
この年は終盤に首位打者争いが白熱して、球史に残る打率争いとなった。シーズン最終日の試合前、タイ・カッブが509打数196安打で打率.385、ナップ・ラジョイは打率.376と9厘差であった。そして首位打者を確信したカッブは最終日の試合を欠場し、ラジョイはセントルイス・ブラウンズ(現:ボルチモア・オリオールズ)戦のダブルヘッダーで9打数8安打を打って、最終成績は591打数227安打で打率.384となった。惜しくもラジョイの方が1厘差及ばず、カッブの首位打者が決まった。しかし、この最終戦でのラジョイの8安打について相手チームのブラウンズのオコーナー監督とハウエル・コーチがラジョイに首位打者を取らせるために、新人のコリデン三塁手をわざと後方に守らせてバントヒットを量産させたとして、オコーナーとハウエルは解雇されてやがて球界から永久追放の処分を受けた。しかも話はこれで終わらなかった。 1981年、スポーティング・ニューズ社により1910年の打撃成績の集計に誤りが指摘され、タイ・カッブの成績が509打数196安打ではなく、506打数194安打で打率は.385から.383に修正され、シーズン打率は2位に後退した。しかしコミッショナー特別委員会はその後の八百長疑惑から監督とコーチが永久追放処分となった影響もあってか、首位打者の変更を認めず、ラジョイはシーズン打率1位でありながら首位打者を逃した選手となった。MLB公式記録でもカッブは509打数196安打で打率.385のままである。 現在、打率1位の記録を残した選手と首位打者を獲得した選手とが違うというケースは、1902年のエド・デラハンティとナップ・ラジョイの例があるが、これはラジョイの規定試合出場数が足りないためで、この年のナップ・ラジョイとタイ・カッブの例はどちらも規定出場試合数を超えており、問題があった。また打率1位でありながら規定打席数や規定出場試合数がたびたび基準変更されたため、今日の基準から見て首位打者の資格を有しないとして、1914年のタイ・カッブ、1926年のバブルス・ハーグレイブ、1940年のデブス・ガームズ、1942年のアーニー・ロンバルディなどについて異なった見解がある。
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「首位打者」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は目下首位打者だ。
- 彼は目下パリーグの首位打者だ。
- 二人の選手は首位打者の地位を競い合った.
- 野球で,首位打者
- イチロー選手がリーグ首位打者のタイトルを獲得しなかったのは1994年以来初めてである。
- 彼は,「残念ではあるけれど,首位打者のタイトルのためにプレーしているわけではない。ベストは尽くした。」と話した。
- 彼はまた,首位打者のタイトルも獲得した。
- 日本でプレーしていたとき,イチロー選手は7年連続で首位打者だった。
- 誰(だれ)が最終的に今年の首位打者になるのだろうか。
- 彼は打率6割6分7厘で首位打者のタイトルを獲得した。
- 2007年にはパ・リーグの首位打者となり,安打数でもリーグトップとなった。
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