隻眼の動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:39 UTC 版)
日本民俗で片目の動物としては、魚、特にフナの説話が多く語られる。 宮崎県の都萬神社の御手洗の池の魚は木花開耶姫命の玉の紐が落ち、フナの眼を貫き、片目になったという。出羽金沢の厨川のカワハゼは後三年の役の時、鎌倉景正が傷ついた眼をここで洗ったので、そこに棲むカワハゼはすがめであるという。 武蔵野島の浄山寺門外の池に棲む片目の魚は延命地蔵が茶畑で傷ついた眼をそこで洗ったからであるという。阿波福村の池に棲む片目のフナ、コイその他は月輪兵部が池の主の大蛇の左眼を射たためであるという。伊予の山越では片身のフナを焼き、弘法大師に出すと、あわれに思い、小川に放つと、蘇生し片眼のフナとなり泳ぎ去ったという。名古屋の闇森の池の片眼フナは瘧の呪いになるという。備前、備中、備後、和泉の魚、越前、越中、越後、伊勢の魚鼈、摂津、越前、越中、越後のフナ、上野、美作のウナギ、甲斐、遠江のドジョウなどにも片眼のものがある。 片眼の蛇の説話も少なくない。佐渡金北山の蛇は順徳天皇行幸以来片眼であり、近江では旱魃の時に水喧嘩を救うために片眼の娘が川の穴に飛び込んで蛇体と化して、その因縁で片眼のコイがいるという。 羽後のカジカ、信濃のイモリ、美作のカモなどは片眼説話がある。 高皇産霊神が天目一箇神を作金者に定めてから、御霊神社の祭神、御手洗の池の魚、池の主は片眼で、池の主は人との交渉が多かった大蛇であった。伊勢に一目龍、肥後に一目八幡があり、やまのかみ、雷神は片眼である。一目の妖怪は山城八瀬村の山鬼、土佐の山爺、有名な一つ目小僧がある。
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