鉄道車両におけるチョッパ制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 14:17 UTC 版)
「チョッパ制御」の記事における「鉄道車両におけるチョッパ制御」の解説
鉄道車両においては、加速時には降圧チョッパとして動作させ、速度に応じてON時間とOFF時間の割合(デューティ比)を増加させて平均電圧を上げていく。減速時は主回路を切替えた後に昇圧チョッパとして動作させ、回路の電圧を架線電圧より高めることで主電動機が発生させた電力を架線に流し、回生ブレーキを実現する。速度が落ちると主電動機から発生する電圧も低くなるため、やはりデューティ比を上げて常に架線電圧以上の電圧を確保する。このとき、架線電圧を大幅に上回ってしまわないよう、抵抗器や専用の降圧チョッパ(ブレーキチョッパ)を挿入してから架線に戻すこともある。装置によっては、雨などによって加速中に空転が発生した場合に、それを検知してデューティ比を一時的に下げて粘着性能を確保する機能も搭載されている。また、電圧を断続的に変化させ、それに応じた電流を直流電動機に流しているので、主電動機の性能上できるだけ直流に近い電流を流することが望ましいため、リアクトルと呼ばれるコイルを主電動機と直列に接続するほか、主電動機にフライホイールダイオードを逆並列に接続して、無加圧時(チョッパのOFFの時間)において、循環電流をリアクトルを介して主電動機との間に流すことにより、直流に近い電流としている。 1968年、千代田線の営団6000系電車(一次試作車。電機子チョッパ制御)で初めて使われた。 また、エネルギー効率を高めたAVF(自動可変界磁)チョッパ制御が1974年、営団7000系電車(有楽町線)で採用された。 国鉄201系電車で採用された電機子チョッパ制御は最も電流の大きい回路で使用されることから装置が大型、高価、誘導障害対策が必要なため量産採用されたのはかなり珍しい部類である。特に営団01系電車で採用された4象限チョッパ装置ではパワーブロックが2組必要でVVVFインバータ制御と大差無い機器構成のため、多くが増備の段階でVVVF方式に設計変更されているが、京都市交通局10系電車や東京都交通局10-000形電車のようにそのまま増備された例もある。ブラシのある直流モーターを使用するため、VVVF方式で使う各種交流モーターに比べて省メンテナンス性で劣る。そのため近年新車としてチョッパ制御を採用された車両は皆無に等しい。また、VVVFインバータ制御の車両において、列車密度が低い線区で回生ブレーキを使用すると、電動機が発生させた電力が架線に流れず回生失効を起こす場合があるため、抵抗器を介した発電ブレーキ回路を構成してチョッパ制御を行うブレーキチョッパシステムを搭載している車両もある。 鉄道車両用装置はどの回路をスイッチングするかによってそれぞれ名称が異なる。詳しくは関連項目を参照されたい。 詳細は「電機子チョッパ制御」を参照
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