一次試作車(RZ-1・SZ-1)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/28 14:36 UTC 版)
「61式特殊運搬車」の記事における「一次試作車(RZ-1・SZ-1)」の解説
計画車両は、試製56式特殊運搬車として開発が始まった。開発は防衛庁技術研究所第3部が、実際の生産は軽自動車コニー等の開発で小型エンジンに実績があり納期的な協力も得られた愛知機械工業が担当している。前例のない車両であるため、とりあえず装輪式と装軌式の二種類を製作し、両者を比較した上で開発を進めることとした。まず昭和31年度予算で装輪式のRZ-1が、次いで翌32年度予算で装軌式のSZ-1が製作された。前者はサスペンションを持っておらず、足回りの衝撃は全て低圧タイヤで吸収することとされ、後者はトーションバーサスペンションを装備していた。両車共に損傷時のことを考えて、冷却水を必要としない空冷エンジンを搭載した。また、車体前面には行動力向上のためにウインチが装備されている。ユニークな点としては、下車操縦が考えられていたことが挙げられる。すなわち、乗車しながらの運転が困難な悪路において、操縦士が運転席の横を歩きながらハンドル操作を行うというものである。さらにRZ-1は、必要に応じて四輪駆動と二輪駆動の切り替えもできた。 RZ-1とSZ-1は、1958年(昭和33年)3月以降比較試験が行われた。三国峠などでの過酷な走行試験のほか、実際に75mmりゅう弾砲M1A1と107mm迫撃砲M2、68式155mm迫撃砲および試製57式105mm軽りゅう弾砲の試作砲の搭載試験も行われている。 試験の結果、両者共に要求性能を満たしていると判断されたが、一方で双方の欠点も明らかになった。RZ-1は装輪式故に横転やスリップを起こしやすく、SZ-1は装軌式に起因する操縦性・燃費の悪さやエンジンの過熱が発生した。検討の結果、燃費や搭載量に勝っていた装輪式のRZ-1をベースとして開発を進めることに決定した。また、この時下車操縦は非現実的として断念されている。
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