野外オペラ公演
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第1幕第2場(神殿の場)、第2幕第2場(凱旋の場)などスペクタクル的要素にも富んでいる『アイーダ』は、野外オペラ公演において好んで取り上げられる曲目でもある。 『アイーダ』野外公演のもっとも初期のものとして記録に残るのは、1912年にエジプト・クフ王のピラミッドの麓で行われた公演である。これは炎天下での演奏であり、舞台は土盛りして整地したもので、数百人に及ぶエキストラが用いられたという。 ヴェローナ市街に残る古代ローマ時代の闘技場遺跡・アレーナ・ディ・ヴェローナでは、1913年のヴェルディ生誕100周年を記念して野外オペラ公演(アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭)が開始され、その第1回は『アイーダ』であった。今日でも『アイーダ』は最も人気の高い演目の一つで、凱旋の場でゾウを登場させる、第3幕(ナイル河畔の場)では舞台上の水路に小舟を浮かべて歌手をそこに載せる等、視覚的にも愉しみの多い舞台がみられる。1997年の公演では、マリエットのデザインしたカイロ初演時の衣装に、1913年のアレーナ初演での舞台装置(ただし、ともに再製作したもの)を組み合わせた古典的な演出を行った。 1919年には、当時絶大な人気を誇ったテノール歌手エンリコ・カルーソーのメキシコシティ訪問にあわせ、サッカー競技場で野外オペラ公演が行われ、サン=サーンス『サムソンとデリラ』等と共に『アイーダ』が上演された。この時カルーソーが受け取ったギャラは、彼の生涯でも最高水準だったという。拡声装置等のない時代のことゆえ、音楽はほとんど聴き取れなかったというが、聴衆(というより観客)は「カルーソーを見た」ことに満足して帰途に着いた。 アメリカでも『アイーダ』はしばしば野外オペラの演目として採り上げられた。その最も初期のものは、ブルックリン・ドジャースの本拠地であったニューヨーク・ブルックリンのエベッツ・フィールドで1925年に行われた公演である。 日本では1950年代に国立代々木競技場、甲子園球場、大阪スタヂアムで野外公演が行われている。その後、東京ドーム落成記念として1989年同場所で公演が行われた(後援日本テレビ)。同年代々木体育館でもアレーナ・ディ・ヴェローナの引越し公演が行われ、テレビ中継も行われた(後援フジテレビ、ナレーション益田由美)。 アレーナ・ディ・ヴェローナと同じく古代ローマ時代の遺跡であるローマ市内カラカラ大浴場でも1937年から野外オペラ公演が行われ、そこで『アイーダ』は中心演目の一つである。同浴場の崩落の危険のため、1993年から公演は中断していたが、2003年に復活している。 近年の『アイーダ』野外公演の観客動員記録と考えられているのは、2001年9月21日、パリ郊外、スタッド・ド・フランス競技場での約7万人という。
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