遺伝的な要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 18:58 UTC 版)
統合失調症患者と対照群の脳内で、別々の働きをする49種類の遺伝子の状態を比較した研究では、統合失調症患者に脳細胞間のシグナリングに欠陥が確認され、ドーパミンやミエリンを生成する遺伝子の働きには、統合失調症患者と対照群の間に差異は確認されていない。 アラキドン酸などの脂肪酸を脳へ取り込むタンパク質Fabp7が、遺伝的に脳への脂肪酸取り込みの弱い患者と統合失調症との関連性が発見されている。プレパルス抑制(英語版)が弱いと、統合失調症の患者はささいな小さな音で驚くような傾向が見られる。 ある特定の遺伝子の欠損や入れ違いで環境とは無関係に遺伝するタイプと、食生活や運動不足といった環境と遺伝の両方とが関係して起きるタイプの2つの疾患がある、後者のが統合失調症患者の大多数を占めるとされる。 大阪精神医学研究所新阿武山病院の菊山裕貴医師は、統合失調症の脳体積が減る遺伝子は健常者の脳の成熟に必要不可欠で、統合失調症が数万人に一人のまれな遺伝病ではないことが裏付けているとしている。高い知能を持つ人の脳体積は思春期以降、強く減るとし、統合失調症の遺伝子が無くなってしまったら天才が生まれなくなる、としている。 2012年、藤田保健衛生大学の研究チームは、日本人の発症に関係する遺伝子「NOTCH4」の配列を突き止めたと発表した。2014年、米ハーバード大学と英ケンブリッジ大学、藤田保健衛生大学などの国際研究チームは、統合失調症の発症に関わる特定済みのものも含め108の遺伝子領域を確認したと、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
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