AGAに関連したホルモンのレベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 15:58 UTC 版)
「男性型脱毛症」の記事における「AGAに関連したホルモンのレベル」の解説
男性ホルモンにはテストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステロン、アンドロステンジオンなどがある。一般的にAGAを患っている患者は遊離テストステロンが高い。遊離テストステロンとは、5αリダクターゼによってジヒドロテストステロンに変換される前駆体のことである。 5αリダクターゼ(5-alpha-reductase)は遊離テストステロンをDHTへと変換する酵素であり、主に頭皮と前立腺に存在する。遺伝子は解析されている。 5αリダクターゼの活性は頭皮のDHTレベルを決定する要素となる。また、FDAによって脱毛症の治療薬として認可されている5αリダクターゼの阻害薬(フィナステリドのような、主にタイプ2サブタイプを阻害するもの)の使用量を決める目安にもなる。 5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、それぞれ分布する部位が異なる。Ⅰ型はほぼ全身の皮脂腺に分布するのに対し、Ⅱ型は頭皮(主に前頭部と頭頂部)・脇・髭・陰部などの毛乳頭細胞に存在する。このうち、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)へ代謝されやすいのはⅡ型の5αリダクターゼであることがわかっている。 性ホルモン結合グロブリン(sex hormone binding globulin, SHBG)はテストステロンと結合してその活性を抑え、DHTへの変換を抑制する。DHTレベルが高い人は一般的にSHBGレベルは低い。SHBGはインスリンにより下方制御(downregulate)される。 インスリン様成長因子1(insulin-like growth factor-1, IGF-1)の上昇は頭頂部の脱毛に関連している。 AGAの発症や進行には遺伝的な要素が大きく関わっている。30年前の日本における男性型脱毛症の統計おいて、日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約 30%と報告されているが、この発症頻度は現在もほぼ同程度である。 適度な有酸素運動の習慣を身に付けることで、DHTのベースラインが大きく上昇する。ただし、マラソンなどの強度の持久力運動(オーバートレーニング)を行った場合、コルチゾールの働きによって、遊離テストステロンのベースラインが下がることが確認されているため、DHTのベースラインも下がると考えられる。コルチゾールとは、ストレスホルモンの一種のことであり、精神的ストレスを受けることでも増加する。ウエイトトレーニングにより遊離テストステロンレベルが下がったという研究も(少なくとも一つ)存在する。
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