遺伝的に見たイヌの起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 23:41 UTC 版)
「イヌの起源」の記事における「遺伝的に見たイヌの起源」の解説
イヌの直接の祖先が現生のどの動物であるかという説は、後述するとおり複数のものがあった。 1990年代以降に急速に発展した分子系統学の知見に基づき、2000年代の時点では、イヌの祖先はオオカミとする説が一般的である。つまり、人間がオオカミを家畜化(=馴化)し、人間の好む性質を持つ個体を人為的選択することで、イヌという動物が成立したと考えられている。 イヌ属にはイヌ・オオカミ(C. lupus)の他に、野生化したイヌであるディンゴ(C. lupus dingo)、独立種として複数のジャッカル(C. aureus, C. mesomelas, C. simensis)とコヨーテ(C. latrans)、交雑種アメリカアカオオカミ(C. lupus × latrans)が含まれる。これらの間には地理的あるいは生態的な要因によって生殖的隔離が見られるが、人為的には相互に交雑が可能であり、子孫も繁殖力を持つ。 このことから、かつてはオオカミ起原説のほかに、オオカミとジャッカル(あるいはコヨーテ)が混じっているとする説や、イヌの祖先として(すでに絶滅したパリア犬や、オーストラリアに現生するディンゴのような)「野生犬」の存在を仮定する説などがあった。チャールズ・ダーウィンも、これら複数のイヌ属動物にイヌの祖先を求めたが、確定することはできなかった。しかしながら、2000年代までの分子系統学・動物行動学など生物学緒分野の発展は、オオカミ以外のイヌ属動物の遺伝子の関与は小さく、イヌの祖先はオオカミであるという説を支持する結果をもたらしている。
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