選択的透過性
選択的透過性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:30 UTC 版)
おそらく生体膜の最も重要な特徴は、選択的に透過性の構造であることと言える。つまり、それを通過しようとする原子や分子の大きさ、電荷、およびその他の化学的性質によって、それが成功するかどうかが決まることを意味する。細胞や細胞小器官を周囲から効果的に分離するためには、選択的な透過性が不可欠である。また、生体膜には、必要に応じて形状を変えたり移動したりすることができる、ある種の機械的または弾性的な特性もある。 一般に、小さな疎水性分子は、単純な拡散によって容易にリン脂質二重層を通過することができる。 細胞機能に必要だが、膜を横切って自由に拡散できない粒子は、膜輸送タンパク質を通って入るか、またはエンドサイトーシスによって取り込まれる。エンドサイトーシスでは、膜の上に液胞が結合し、その内容物を細胞内に押し込むことができる。細胞を外部環境から隔てる特殊な原形質膜には多くの種類がある。たとえば頂端膜、側底膜、シナプス小胞膜(シナプス前膜およびシナプス後膜)、鞭毛膜、繊毛膜、微絨毛膜、糸状仮足および葉状仮足の膜、筋細胞のサルコメア、神経細胞の特殊なミエリン膜や樹状突起膜など、原形質膜はまた、カベオラ、シナプス後膜肥厚、ポドゾーム(英語版)、浸潤突起(英語版)、デスモゾーム、ヘミデスモゾーム、接着斑、細胞接合部など、さまざまなタイプの超膜構造を形成することができる。これらのタイプの膜は、脂質とタンパク質の組成が異なる。 異なる種類の膜も細胞内小器官を作り出している。エンドソーム、滑面小胞体および粗面小胞体、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、ミトコンドリア(内膜と外膜)、核(内膜と外膜)、ペルオキシソーム、液胞、細胞質顆粒、細胞小胞(ファゴソーム、オートファゴソーム、クラスリン被覆小胞、COPI被覆小胞およびCOPII被覆小胞)、および分泌小胞(シナプトソーム(英語版)、アクロソーム、メラノソーム、およびクロマフィン顆粒を含む)。生体膜は、その種類によって脂質やタンパク質の組成が異なっている。膜の内容は、それらの物理的および生物学的特性を決定する。膜の構成要素の中には、薬物を細胞外に送り出す排出ポンプなど、医学において重要な役割を果たしているものがある。
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