選定手続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 14:37 UTC 版)
選定基準は世界歴史に重大な影響をもつ事件・時代・場所・人物・主題・形態・社会的価値を持った記録物(一次資料)を対象とする。申請は原則的に政府および非政府機関を含むすべての個人または団体ができるが、関連地域または国家の委員会が存在するのであれば、その援助を受けることができる(後述の「#地域委員会と地域版、国内委員会と国内版」の節参照)。申請権は対象記録を所有する事象当事国に限られる(事象と記録が複数国に跨る場合は双方の合意の上)。なお、2021年に決定した制度改革によって、申請は政府に限られることとなった。 まず、申請者はユネスコ本部内の一般情報事業局に申込書を提出して書類審査を受けるが、申請は1国で2件までであり、日本の例では3件以上の申し込みがあれば日本ユネスコ国内委員会が2件に絞り込むよう調整が行われる。 審査はユネスコ事務局長が任命する委員14名によって構成された「国際諮問委員会 (IAC)」を通じて1997年から2年毎に「MoW選考委員会 (Register Committee)」の場で選定を行っている。国際諮問委員会の委員は、ユネスコの「公共図書館宣言」を遵守する国の公文書館やワールド・デジタル・ライブラリーへ参加する図書館の司書などが多い。委員に求められる資質は、国連出版物の編纂や国際的な図書普及啓蒙活動に関与した実績、典籍研究が広く評価されていることなどとされ、国際図書館連盟 (IFLA) や国際文書館評議会 (ICS) からの推挙もある。 ただし最終決定権はユネスコ事務局長に委ねられ、2015年審査分にパレスチナが申請したアーカイブ Palestine Poster Project Archives はあまりにも反ユダヤ主義的で文化摩擦を招きかねないとして、イリナ・ボコヴァ事務局長(当時)の判断により除外された例もある。なお、この権限も制度改革で改められ、最終的な選定合否はユネスコ大使などによる「世界の記憶執行委員会」が行うことになった。
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