遠山の霜月祭り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 06:23 UTC 版)
800年の伝統をもつ祭で、神社の中にかまどを作り、湯をたぎらせて神楽歌を歌い神仏を呼び、湯を召し新たな御霊となって神を元の社へ返すというもの。祭のクライマックスになると四面や大天狗が煮え切ったお湯を五方にかけるほか、ヨーッセヨーッセと囃してジャンプして飛んでくる面を付けた人を村人が受け止める。そして遠山氏の怨霊を模った八社と呼ばれる神が陰鬱な雰囲気を醸し出して舞う。最後に宮天伯と呼ばれる神が弓矢や剣をもって舞処を清め、鼻で空中に「叶」や「寿」の文字を書いて面の舞が終わる。その後は金山の舞、直会を経て神事の一切を終了する。 なお、祭りを行う地域、神社によって形式が一つ一つちがうため、上記は大体の説明である。 1979年2月3日に、遠山の霜月祭の指定名称で国の重要無形民俗文化財に指定された。三河・信濃・遠江地方の山境に分布伝承されてきた湯立を中心とする霜月神楽の一典型で、遠山郷にあるいくつかの集落において、12月上旬から日を違えて行なわれる。遠山郷では面(オモテ)の種類や舞の動き、囃子の仕方に地域ごとの違いがあり、大別して上町系・下栗系・木沢系・和田系の4つに分けられる。 下栗の伝承では、元和年間に、悪政に苦しめられた領民が一揆を起こし、参勤交代帰りの遠山領主を大河原峠で殺し、家族や家臣をも殺したところ、翌年から飢饉と悪病が続いたため、遠山氏一族を神として祀り、その死霊祭として始めたのが祭りの起こりとしている。 またドキュメンタリー映画作家の野田真吉の代表作『冬の夜の神々の宴 遠山の霜月祭』(1970年)の題材ともなっている。
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