違法性の概念とは? わかりやすく解説

違法性の概念

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:11 UTC 版)

不法行為」の記事における「違法性の概念」の解説

日本法においては権利侵害があったことは709条において不法行為成立のための要件としてあげられている。ただし、諸外国にはそもそも権利侵害要件として挙げることなく損害発生によって不法行為責任認め法制もある。 2004年民法改正前の709条は「故意又ハ過失ニ因リテ他人権利侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害賠償スル責ニ任ス」と定められ本条の「権利」の意義めぐって論戦繰り広げられてきた経緯がある。「権利の意味を巡る論争桃中軒雲右衛門事件に始まる。これは有名な浪曲師であった右衛門浪花節レコード化したが、別の業者勝手にレコード複製販売したことに対して損害賠償求めた事件である。このときに大審院浪花節著作権法上の著作権無ければそれが侵害されたとしても不法行為による損害賠償請求をすることができない判示した(大刑判大3・7・4刑録20輯1360頁)。そこでは709条にいう「権利」とは法律上権利であると考えられていた。 この判断は後の大学事件変更される。この事件は「大学湯」というのれん(老舗ともいう)に対す侵害について不法行為責任追及したのである原審は「のれん」が法律上権利ではないという理由不法行為成立否定したが、大審院709条の「権利」とは不法行為による救済与えるべき利益のことであるとして「権利」を広く解釈した大判141128民集4巻670頁)。 そもそも立法者は権利概念について広く捉えていたにもかかわらず、かつての判例においては権利概念について厳格な判断なされたため不法行為成立制限されるという弊害生じ、これに対して学説においては末川博権利侵害要件違法性とするように主張しまた、我妻栄違法性を被侵害利益種類侵害行為種類相関関係において判断すべきとみる相関関係説を説くなど、権利侵害要件違法性捉えるのが通説的な立場となるに至った。 以上のように判例学説では法律上権利か否か問わず法律上保護すべき利益対す侵害があれば不法行為成立する解されるようになった。これら不法行為法益広く捉える見解2004年民法改正において法文取り込まれ、「故意又ハ過失ニ因リテ他人権利侵害シタル者ハ…」という709条の規定が「故意又は過失によって他人権利または法律上保護される利益侵害した者は…」と改正された。

※この「違法性の概念」の解説は、「不法行為」の解説の一部です。
「違法性の概念」を含む「不法行為」の記事については、「不法行為」の概要を参照ください。

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