進化・分類
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特異な特徴をもつため、比較的古くから独立の科に分類されていた。原始的な被子植物の一群と考えられ、新エングラー体系などではモクレン目に、クロンキスト体系などではクスノキ目に分類されていた。また独立のトリメニア目 (Trimeniales) に分類されることもあった。 やがて20世紀末以降の分子系統学的研究により、トリメニア科は被子植物の初期分岐群の1つであることが明らかとなり、またアウストロバイレヤ科やマツブサ科 (シキミ科を含む) に近縁であることが示された。そのため、2020年現在では、トリメニア科、アウストロバイレヤ科、マツブサ科はアウストロバイレヤ目としてまとめられている。 トリメニア科の特徴をもつ種子の化石が、北海道の白亜紀アルビアン期の地層から報告されている。 トリメニア科には Trimenia と Piptocalyx が認識されていたが、2020年現在では両者は Trimenia としてまとめられている。また Trimenia には、8種ほどが知られている (下表)。 トリメニア科の分類体系トリメニア科 Trimeniaceae Gibbs, 1917トリメニア属 Trimenia Seem., 1873 nom. cons.シノニム: Piptocalyx Oliv. ex Benth, 1870 Trimenia bougainvilleensis (Rodenb.) A.C.Sm., 1978シノニム: Trimenia weinmanniifolia subsp. bougainvilleensis Rodenb., 1971 ソロモン諸島 Trimenia macrura (Gilg & Schltr.) Philipson, 1986シノニム: Piptocalyx macrurus Gilg & Schltr., 1918 ニューギニア島 Trimenia marquesensis F.Br., 1935シノニム: Trimenia weinmanniifolia subsp. marquesensis (F.Br.) Rodenb., 1971 マルキーズ諸島 Trimenia moorei (Oliv.) Philipson, 1986シノニム: Piptocalyx moorei Oliv., 1870 オーストラリア東部 Trimenia neocaledonica Baker f., 1921ニューカレドニア Trimenia nukuhivensis W.L.Wagner & Lorence, 1999マルキーズ諸島 Trimenia papuana Ridl., 1916シノニム: Trimenia arfakensis Gibbs, 1917 ニューギニア島 Trimenia weinmanniifolia Seem., 1873 (タイプ種)フィジー、サモア
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進化・分類
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原核緑藻の中で最初に報告されたのはプロクロロン属であり (1975年)、原核生物でありながら緑色植物と同じクロロフィルbをもつことから注目された。藻類は一般的に分類群ごとに異なる光合成色素組成をもつことが知られていたため、藍藻に続く2番目の原核藻類群であると考えられ、独立の門、原核緑色植物門 (Prochlorophyta) とすることが提唱された。またクロロフィルbの存在という共通性から、原核緑藻は共生によって緑色植物の葉緑体になったとも考えられた。その後、プロクロロトリックス属とプロクロロコックス属が発見され、原核緑藻には3属が知られるようになった。 分子系統学的研究が盛んになると、上記のような仮説は否定されることとなった。分子系統学的研究からは、原核緑藻の3属はいずれも系統的に藍藻の中に含まれ、さらにこの3属は藍藻の中でお互いに遠縁であることが示された (下系統樹)。またいずれの原核緑藻においても、緑色植物の葉緑体との近縁性は示されておらず、緑色植物の葉緑体が原核緑藻との共生に起因するとの仮説は支持されない。 シアノバクテリア門 "セリキトクロマチア綱"(非光合成性) "メライナバクテリア綱"(非光合成性) オキシフォトバクテリア綱 グロエオバクター目 (Gloeobacter) クレード G (Octopus Spring clade) (e.g. "Synechococcus" PCC7336, JA-3-3Ab) クレード F (e.g. Pseudanabaena, "Synechococcus" PCC7502) グロエオマルガリータ目 (Gloeomargarita) 葉緑体 クレード E (AcTh) (e.g. Acaryochloris, Thermosynechococcus) Prochlorothrix クレード (e.g. Nodosilinea, Lagosinema, ●Prochlorothrix) クレード C1 (SynPro) (e.g. "Synechococcus", ●Prochlorococcus) クレード C2 (Synechococcus s.s.) (Synechococcus elongatus) クレード C3 (LPP-B) [e.g. "Synechococcus" PCC7335, "Phormidium" NIES-30) クレード D (e.g. "Geitlerinema" PCC 7407, Leptolyngbya PCC 6306) Geitlerinema PCC 7105 クレード クレード A (Osc) (e.g. Trichodesmium, Arthrospira, Planktothrix) クレード B2 (SPM) (e.g. Pleurocapsa, Microcystis, ●Prochloron) Moorea クレード クレード B3 (e.g. Crinalium PCC 9333, Chamaesiphon PCC 6605) クロオコッキディオプシス目 (e.g. Chroococcidiopsis, "Synechocystis" PCC 7509) ネンジュモ目 藍藻の系統仮説の一例。いくつかの系統解析結果に基づく。●は原核緑藻3属を示す。 現在では、原核緑藻は特殊化した藍藻であると考えられている。一般的に、クロロフィルb の獲得は3属の間で独立に起こった現象であると考えられている (遺伝子水平伝播など)。藍藻の共通祖先がクロロフィルb をもっており、その欠失がさまざまな系統(ほとんどの藍藻、灰色植物と紅色植物の葉緑体)で起こったとする考えもあるが、その場合は極めて多数の二次的な欠失を想定しなければならない。 以上のようなことが明らかとなり、現在では原核緑藻が独立の生物群(原核緑色植物門)として扱われることはなくなり、全ての原核緑藻は藍藻(シアノバクテリア門)に分類されるようになった。シアノバクテリア門の中で、原核緑藻の3属を同一の分類群 (例:プロクロロン目) にまとめることもあるが、上記のようにこの3属は互いに近縁ではなく、この分類は適当ではない。ただし、藍藻の中の分類体系はいまだ暫定的である。一例として、Büdel & Kauff (2012) は、原核緑藻3属を以下のように分類している。 プロクロロン属 (Prochloron) ... クロオコックス目 プロクロロン科 プロクロロコックス属 (Prochlorococcus) ... シネココックス目 シネココックス科 プロクロロトリックス属 (Prochlorothrix) ... プセウドアナベナ目 プセウドアナベナ科 またプロクロロコックス属は上記のような生理生態的な多様性(強光型、弱光型など)を示し、また遺伝的にも大きな多様性をもつ (プロクロロコックス属では多数の株でゲノム塩基配列が決定されている)。2019年現在、このような遺伝的多様性に基づいて、プロクロロコックス属を Prochlorococcus、Eurycolium、Prolificoccus、Thaumococcus など複数の属に分けることが提唱されている。
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