連邦主義と州の権力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 16:07 UTC 版)
「オーストリアの州」の記事における「連邦主義と州の権力」の解説
オーストリアの各州には、選出された立法府の州議会(Landtag)、そして州首相 (Landeshauptmann)が議長となる州政府(Landesregierung) がある。選挙は5年ごと(オーバーエスターライヒ州は6年)に実施される。州憲法は、とりわけ州政府の議席が政党にどう割り当てられるかを定めており、殆どの州は州議会の代議員数に基づいた比例代表制を採用している。州首相は州議会によって選出されるが、実際のところ州首相は州議会の与党または連立与党の指導者である。 オーストリアの首都ウィーンは、都市と連邦州としての2つの役割を果たす「都市州」である。市長は州首相の地位であり、市議会が州議会としても機能する。ただし自治憲法では、市と州の事業は別々に分けておく必要がある。そのため、市議会と州議会は同じ議員で構成されているが、双方は別々の会議を開催し、各機関が別々の管理役員となっている。市議会として会合を開く場合、議員達は市政しか扱わないい。州議会としてとして会合を開く場合は、州行政しか扱わない。 オーストリアの連邦制は主に理論的で、州には殆ど立法権が与えられていない。連邦憲法は当初、州にあらゆる立法権を与えていたが、後に多くの権限が奪われていき、市街化計画と市街化調整区域、自然保護、狩猟・漁業・農業、青少年保護、公衆衛生と福祉の特定問題、特定の課税権など、幾つかだけが残っている。 刑法・民法・企業法・経済法、防衛・教育問題、学界・通信・医療制度の大部分を含めたその他の事項は、連邦法によって規制されている。連邦憲法は司法を独占的に連邦事案と定義しているので、州の司法も存在しない。この中央集権は、権力が主にウィーンに集中していた帝国時代の歴史的モデルに従っている。 とはいえ、州首相は各州内で連邦行政法の大部分の管理を担当しており、このポストは重要な政治的地位となっている。さらに、州の権限には区域法、計画問題、地方レベルでの公共調達が含まれており、国政にもだいぶ重みを加えている。実際問題として、ゼンメリングの下に建設予定だった鉄道トンネルの場合のように、連邦政府によって承認された計画を州が阻止できた事例もあった。 オーストリアの州は公式にも実質的にも、アメリカ合衆国の州やドイツの州よりもはるかに小さな自治権が付与されている。それでも、オーストリア人はそれぞれの州に熱意をもって識別し、しばしば自分達の州が持つ独立とは程遠い統治を守る傾向がある。オーストリア人が自身を考えることは前代未聞ではなく、例えば1番目がチロル州で2番目がオーストリア人である。
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