途上国・ウイグル人搾取・二重基準批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 14:46 UTC 版)
「ナイキ」の記事における「途上国・ウイグル人搾取・二重基準批判」の解説
ナイキの製品デザインは自社で行うが、自社工場を持たずに生産は外部の工場に委託している。以前よりナイキは海外工場において労働力の不当な搾取をしていると噂されていた。1997年、NGOによって実際にナイキのベトナムなど東南アジアに所在する委託工場における児童労働、低賃金労働、長時間労働、セクシャルハラスメント、強制労働などの問題点の存在が明らかになった。こうした事実を知ったアメリカのNGO団体および学生たちは大学キャンパスやインターネットを使用し、ナイキの社会的責任を批判した。運動は製品の不買や訴訟問題に発展した。これに対してナイキは、1999年にグローバル・アライアンスを設立し世界各国の自社を含む多国籍企業における労働環境の調査を行い、環境の改善に対して迅速に取り組めるよう対応したと主張していた。 だが、中国政府の少数民族に対する迫害の一環によって新疆ウイグル自治区で拘束されて中国全土で奴隷的労働させられているウイグル人工場を利用しているため、2019年にはアメリカのドナルド・トランプ大統領、2020年には米紙ワシントン・ポストやブルームバーグ、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)から名指しの批判を受けている。ASPIの報告書によれば、2017-2019年だけでも8万人のウイグル人が住んでいた新彊自治区以外の工場に強制的に移住させられた。彼らは継続的な監視の下で、故郷から遠く離れた工場で外界と隔離された宿舎に住まわされ、労働時間以外に組織的な中国語教育とイデオロギー訓練に参加させられ、宗教的な行事への参加も禁止されていた。マイク・ペンス米副大統領からも2019年に、中国と共に「人権侵害を進んで無視」しているアメリカの多国籍企業としてナイキは名指され、批判を受けている。ASASPIは中国の9つの省にある27の工場で、新彊地区から送られたウイグル人労働者が使われていることを確認し、中国東部の山東省の青島にあるスポーツシューズ工場を例に取り上げている。主な供給先はナイキであり、2020年1月のみで600人、2007年以降からの累計では9,800人のウイグル人労働者が新彊地区からこのスポーツシューズ工場に送られた。彼らは昼間はナイキの靴を作り、終業後の夕方には中国語教育と中国賛美など新彊再教育キャンプをほぼ再現したものが行われていた。
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