返還の滞納
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卒業後に返還義務があるにもかかわらず、返還の滞納を行う者が後を絶たない。このことからも無駄な支出との指摘が避けられない。また、奨学金の原資には貸与者からの返済金が活用されていることもあり、滞納額の増加は奨学金事業そのものを崩壊させることになりかねない。2007年度末時点で奨学金滞納額は660億円に上っている。また、この問題では、未回収金のうち約130億円について、同機構側が貸出先住所について、卒業後半年間は奨学生と接触しないシステムを継続していることなど杜撰な管理をしていることにより、転居先を把握していなかったことが主因であることが、会計検査院の調査で判明している。 滞納者の個人情報を信用情報機関に登録 日本学生支援機構では滞納に歯止めを掛けるため、2010年4月より、61日以上滞納した利用者の個人情報(氏名、住所、勤務先、延滞額など)を信用情報機関である「全国銀行個人信用情報センター」に登録する。同センターの情報は、銀行・消費者金融・信販会社・保証会社など、金融機関が貸し出し審査等に利用しているため、延滞情報や代位弁済情報(機関保証制度利用者に限る)を登録された場合には、携帯電話端末の割賦契約、保証会社を利用する賃貸住宅の契約、クレジットカードの作成やローン契約が出来なくなり、すでにクレジットカードやキャッシングカード等を契約している場合は、持っているカードが利用停止、場合によっては強制解約になる恐れがある。 また多重債務者に対しては、強制執行の申し立て・連帯保証人・裁判所への申し立てなど、法的手段により回収を強化する。 原則として2009年度の貸与分(新規だけでなく継続の在学生も含む)から導入し、貸与希望者に予め情報提供の同意書を取り付け、同意しない者には貸与しない。また返還をしている卒業生には、順次郵送で同意書への同意を呼びかける。 延滞状況の改善ない大学名の公表へ 財務大臣の諮問機関である「財政等審議会」の財政投融資分科会は、各大学の回収取り組みを強化させるため、延滞状況の改善が進まない大学名を公表すると明らかにした。2009年度より実施する予定だった。これは、目前に控えた2018年問題に対処する必要があるからである。結局、2017年4月に公表された。
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