軽快電車のシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/16 19:14 UTC 版)
軽快電車の開発には川崎重工業・東急車輌製造・アルナ工機・三菱電機・東洋電機・富士電機・住友金属工業・日本エヤーブレーキ(現ナブテスコ)が参加し、それぞれが構体や機器類を分担して製造し、組立を川崎重工業兵庫工場で実施した。 システム的には、直流複巻式電動機で回生ブレーキを常用する電機子チョッパ制御、応答性が良く強力な油圧キャリパー方式ディスクブレーキと、これを制御する電気指令式ブレーキシステム、主電動機の両端軸からハイポイドギアと中空軸カルダン継手を介して車軸を駆動するモノモーター方式直角カルダン駆動、車輪のリムに防音リングを圧入した防音車輪を装備するインサイドフレーム式空気バネ台車、それに冷暖房兼用可能なヒートポンプ式空調装置、と開発当時の高速電車用技術を可能な限りコンパクト化の上で持ち込み、更に欧米の先行事例を参考に、路面電車ならではの新技術を採用している事が伺える。 人間工学的考察も行われ、特に運転士の運転作業改善のために1軸両手式のワンハンドルマスコンなどが採用され、後の路面電車の新造車設計に長く踏襲された。 もっとも、この内チョッパ制御やインサイドフレーム式台車の採用は、参加メーカーの一つである東急車輌製造がボーイング・バートル社の下請けとして1970年代中盤に設計した、サンフランシスコ市営鉄道(Muni:San Francisco Municipal Railway)およびマサチューセッツ湾輸送公社(MBTA:Massachusetts Bay Transportation Authority)向け標準ライトレール車両(SLRV:Standard Light Rail Vehicle)で既に実績があったものであり、この軽快電車の開発に当たっては、そういった参加各メーカーの輸出車両開発経験が持ち寄られ活用されただけでなく、以後、各社が製造を担当する輸出向け車両のための技術蓄積という意図も含まれていた。
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