身柄確保後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 21:51 UTC 版)
「京都アニメーション放火殺人事件」の記事における「身柄確保後」の解説
前述の通り、被疑者の男も身柄確保の時点で全身に火傷を負っており、確保直後に京都市東山区の京都第一赤十字病院に搬送された。命の危険もある重篤な状態が続いており、より高度な治療を受けさせる必要があると判断され、7月20日にドクターヘリで大阪府大阪狭山市にある近畿大学医学部附属病院に転院。この時の主治医は、客観的に見て「今日か明日で絶命する可能性が高い」という状況だったと後に語っている。 全身の93%が最も重いIII度熱傷に分類される状態だったが、他者からの提供皮膚が不足して被害者へ供給できなくなる事態を避けるため、初期の治療には人工真皮(皮膚)を、その後は自分の残った皮膚から細胞を培養し、培養表皮シートを作って移植するという治療法が選択された。広範囲の重いやけどに対して提供皮膚を使うことなく治療するのは、世界でも前例のないケースだった。当初は全身麻酔で終日眠っている状態がしばらく続いたが、移植などの治療によって反応を示し始め、麻酔を緩めると意識を回復して「痛い」などと言葉を発するようになった。その後は集中治療室に入っているものの、命の危険がある重篤な状態を脱して快方に向かった。 9月9日、気管切開した部分に取り付ける管を発声できるものに交換し、再び声が出るようになると「声が出る」「もう二度と出せないと思っていた」「世の中には自分に優しくしてくれる人もいるんだ」と言って涙を流した。リハビリテーション中「意味がない」「どうせ死刑だから」「自分は意味のない命」などと投げやりな態度を見せたり、食べ物の好き嫌いによる病院食を拒むことも多かった男であったが、主治医から「私たちは懸命に治療した。君も罪に向き合いなさい」と繰り返し諭されると、被疑者は「他人の私を、全力で治そうとする人がいるとは思わなかった」との発言や「道に外れることをしてしまった」「病院のスタッフに感謝している」とも語った。主治医は、被疑者は常に敬語で話すなど礼儀正しく、リハビリテーションを嫌がったために厳しくたしなめられると、素直に従ったと証言している。 11月14日、高度な治療が終了したため、最初に入院した京都第一赤十字病院へ搬送されて転院した。国内外の過激なファンからの報復を受ける可能性が高いため、被疑者の身柄は捜査関係者曰く「一般人は自由に出入りできない場所」に収容された。その後は「かゆい、痛い」などとたびたび不満を訴え、リハビリテーションにも積極的には取り組もうとしなかったという。 2020年(令和2年)5月27日、京都府警察によって逮捕された(#逮捕後)。
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