貯留式汚物処理装置の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:53 UTC 版)
「列車便所」の記事における「貯留式汚物処理装置の導入」の解説
日本では早くも1952年頃から垂れ流し便所の不潔さが指摘され、1958年には国鉄と小田急電鉄がそれぞれ独自に貯留式の装置を実用化した。この方式は初期の新幹線車両にも用いられている。もっとも初期の単純な貯留式では、洗浄水によって数時間の運用で汚物が溢れ出してしまうため一般化はしなかった。新幹線でも東京-新大阪間1往復で便槽は満杯となり、車両基地での汚物抜き取り時間確保に悩まされた。 1969年10月27日、国鉄の常務会は人口密集地を走行する東海道本線、山陽本線の特急、急行列車に新幹線並みのタンク式トイレを装備することを決定した。従来の糞尿垂れ流し方式では、保線区員、信号通信区員などの工事職員は列車通過時の線路脇での待避中に糞尿を浴びることが度々あり、1968年には労組が『国鉄糞尿譚』を出版して世論に訴えることもあった。しかしタンク式トイレが装備されるようになったのは工事職員の要望が国鉄執行部に受け入れられたからではなく、沿線住民からの「衛生的によくない」という多数の苦情を受けてのものであった。 1965年に当時の清掃法において「特別清掃地域内において便所が設けられている車両を運行する者は、当該便所に係る屎尿を環境衛生上の支障が生じないように処理することにつとめなければならない。」という条文が付け加えられ、法的にも垂れ流し便所を改良しなければならないことになった。2018年現在適用されている廃棄物の処理及び清掃に関する法律においても、第5条第7項に「便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。」と規定されている。 貯留式の洗浄水問題解消のため、家庭用として商品化されている泡洗浄方式(簡易水洗式便所の応用)も試用され、近畿日本鉄道などで用いられた時期がある。
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