負担法に基づく災害復旧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 22:26 UTC 版)
災害を受けた施設などの従前の効用を回復するために行う事業であるが、公共土木施設については財源として公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく国の負担及び国庫補助制度は確立しており、国土交通省都市局所管の都市災害復旧事業と水管理・国土保全局所管の河川等災害復旧事業とに分類される。 都市災害復旧事業とは被災した街路、連続立体交差、公園、都市排水施設といった都市施設を原型に復旧することが不可能な場合には、従前の効用を復旧するための措置をとる、市街地が堆積土砂により被災した場合の堆積土砂排除を行う、といった事業である。 河川等災害復旧事業については、被災した河川、海岸、砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、道路及び下水道といった公共施設を原型に復旧する事業である(道路の災害復旧も道路局ではなく水管理・国土保全局所管となる)。 これら両局所管の災害復旧の他、さらに、活動火山対策特別措置法に基づき、火山爆発等の火山現象により多量の降灰があった場合に、これを除去する降灰除去事業がある。 地方公共団体が管理している公共土木施設(河川・道路・砂防施設など)が異常気象で被災した場合、本来であれば管理する自治体が自らの予算措置で施設機能の復旧を行う必要がある。しかし、地方公共団体の財政力には限界があり、異常気象により集中的に施設被害を受けた場合には復旧に長い期間を要する事が予想され、その場合には公共施設の機能不全により生活環境の悪化、ひいては地域の衰退を招きかねない状況にある。 このことを防ぐため、国が一定の基準に基づいて財政援助を行うことにより、施設の早期の機能復旧を測り、民政安定に寄与することが負担法の目的である。国の判断に基づき金額の多寡を決定できる補助金と異なり、請求があって適正と認められたものについては支出を行わなければならないことになっている。 早期復旧の観点から負担割合は復旧に要する費用の66.7%(離島は80.0%、その他激甚災害法の適用などにより割合の嵩上げがある)と、一般の補助事業の補助率(50~55%)に比べても高率であり、原則として被災年を含めて3年以内(予算の標準進度は、1年目85%、2年目99%、3年目100%となっている。)に支出される。 国土交通省水管理・国土保全局防災課の統計によると、1951年(昭和26年)に負担法に基づく制度が出来て以降、全国で約300万箇所の災害が負担法に基づき復旧が行われ、都道府県所管分の河川だけでも約83000kmで災害復旧が行われたという。
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