連続立体交差事業
(連続立体交差 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 21:39 UTC 版)
![]() |
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。
|
![]() |
この項目「連続立体交差事業」は加筆依頼に出されており、内容をより充実させるために次の点に関する加筆が求められています。
加筆の要点 - すでに事業が完了した区間についての記述 (貼付後はWikipedia:加筆依頼のページに依頼内容を記述してください。記述が無いとタグは除去されます) (2019年3月) |

連続立体交差事業(れんぞくりったいこうさじぎょう)は、鉄道線路を高架もしくは地下に切り替え、道路との立体交差を3箇所以上新設する事業である[1]。
施工法

施工法は、下記のとおり。
- 高架方式
- 仮線:既設線を仮線に切り替え、跡地に高架橋を新設[2]。
- 別線:既設線の横に高架橋を新設[2]。
- 直上高架:既設線の真上に高架橋を新設[2]。
- 逆立体:高架道路を地上に下ろすとともに、鉄道線路を高架化[3]。
- 地下方式
- トンネル工法で敷設[4]。
歴史
高架化工事
神戸市街線(JR神戸線)灘駅 - 鷹取駅間で施工した[5]。
山側にある現在線を海側に切り替え、跡地に2線分の高架橋を築造する[5]。1918年9月に鷹取駅付近の用地買収から始まり[5]、1931年に高架橋が完成した[6]。現在線を高架線に切り替えた後は、海側の跡地に2線分の高架橋を設ける[5]。高架橋の完成は、1937年である[6]。1939年に工事を完了した[7]。
地下化工事
新京阪線(現:阪急京都本線)西京極駅 - 京阪京都駅(現:大宮駅)間で初めて実施した[8]。
新京阪鉄道は、京都市内への乗り入れを構想するも、市街化が進んだため、地下線での乗り入れを決めた[9]。1928年6月15日に工事を着手した[8]。地下による西院駅と大宮駅の開業は、1931年3月31日である[10]。1931年4月に竣工した[8]。
鉄道高架化の確立

1964年8月7日に建設省と日本国有鉄道(以下、国鉄)で、建国協定[注釈 1]に基づく鉄道の高架化における費用負担についての覚書を結んだ[12]。高架線の定義は、下記のとおり。
2は、1969年9月1日から両端の幹線道路[注釈 2]の中心間距離が350メートル以上に変更された[15]。
都市計画事業の確立

1967年4月27日に国鉄基本問題調査会で細田吉蔵が細田試案を示した[16]。
細田試案に対して建設省は、下記の見解を述べた。
1968年5月7日の国鉄基本問題調査会で、鉄道高架化の方針を定めた[17]。
1969年9月1日に建設省と運輸省間で、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定及び同細目協定を取り決めた[19]。2004年4月には、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する要綱及び同細目要綱を適用した[20]。2005年度には、事業主体を県庁所在都市、人口20万以上の都市、東京23区に広げた[21]。
事業箇所
年度とは、4月1日から翌年3月31日までを表す(地方自治法第208条)。2040年度であれば、2040年4月1日から2041年3月31日までを示す。
路線 | 区間 | 構造形式 | 全線完了(予定) | 出典 |
---|---|---|---|---|
JR札沼線 | 篠路駅付近 | 高架化 | 2032年3月31日 | [22] |
JR埼京線(赤羽線) | 十条駅付近 | 高架化 | 2031年3月31日 | [23] |
JR南武線 | 矢向駅 - 武蔵小杉駅 | 高架化 | 2038年度 | [24] |
JR東海道本線・御殿場線 | 沼津駅付近 | 高架化 | 2040年度 | [25] |
JR武豊線 | 半田駅付近 | 高架化 | 2030年度 | [26] |
JR山陽本線・呉線 | 向洋駅付近 | 高架化 | 2030年春 | [27] |
海田市駅付近 | 高架化 | 2036年度 | ||
東武伊勢崎線・野田線 | 春日部駅付近 | 高架化 | 2031年度 | [28] |
東武東上本線 | 大山駅付近 | 高架化 | 2030年度第4四半期 | [29] |
西武新宿線 | 中井駅 - 野方駅 | 地下化 | 2026年度第2四半期 | [30] |
井荻駅 - 西武柳沢駅 | 高架化 | 2038年3月31日 | [31] | |
東村山駅付近 | 高架化 | 2027年度第4四半期 | [32] | |
西武国分寺線・西武園線 | 東村山駅付近 | 高架化 | 2026年度第4四半期 | |
京成押上線 | 四ツ木駅 - 青砥駅 | 高架化 | 2030年3月 | [33] |
京王線 | 笹塚駅 - 仙川駅 | 高架化 | 2030年度 | [34] |
京急本線 | 泉岳寺駅 - 新馬場駅 | 品川駅:地平化 北品川駅:高架化 |
2027年度 | [35] |
京急大師線 | 鈴木町駅 - 東門前駅 | 地下化 | 2037年度 | [36] |
相鉄本線 | 鶴ヶ峰駅付近 | 地下化 | 2033年度 | [37] |
富山地方鉄道本線 | 電鉄富山駅付近 | 高架化 | 2028年度 | [38] |
名鉄名古屋本線 | 岐南駅 - 名鉄岐阜駅 | 高架化 | 2034年度 | [39] |
知立駅付近 | 高架化 | 2025年度 | [40] | |
名鉄三河線 | 知立駅付近 | 高架化 | 2027年度 | |
若林駅付近 | 高架化 | 2026年3月 | [41] | |
南海本線 | 石津川駅 - 羽衣駅 | 高架化 | 2030年度末 | [42] |
南海高野線 | 浅香山駅 - 堺東駅 | 高架化 | 2035年度 | [43] |
京阪本線 | 寝屋川市駅 - 枚方市駅 | 高架化 | 2028年度 | [44] |
阪急京都本線 | 摂津市駅付近 | 高架化 | 2033年度 | [45] |
阪急京都本線・千里線 | 淡路駅付近 | 高架化 | 2028年度 | [46] |
路線 | 区間 | 構造形式 | 認可取得・着工(予定) | 出典 |
---|---|---|---|---|
JR南武線 | 谷保駅 - 立川駅 | 高架化 | 2028年度 | [47] |
JR神戸線 | 東加古川駅付近 | 高架化 | 2031年度 | [48] |
西武新宿線 | 野方駅 - 井荻駅 | - | - | [49] |
京成本線 | 京成高砂駅 - 江戸川駅 | 高架化 | - | [50] |
東急大井町線 | 戸越公園駅付近 | 高架化 | 2025年度 | [51] |
名鉄名古屋本線 | 桜駅 - 本星崎駅 | 高架化 | - | [52] |
JR片町線(学研都市線)・JR東西線 | 京橋駅付近 | 地下化 | 2030年度(認可取得) 2051年度(地下化) |
[53] |
山陽電鉄本線 | 高砂駅 - 荒井駅 | 高架化 | - | [54] |
近鉄奈良線 | 大和西大寺駅付近 | 高架化 | 2029年 | [55] |
路線 | 区間 | 事業期間(年度) | 出典 |
---|---|---|---|
JR舞鶴線・小浜線 | 東舞鶴駅付近 | 1990 - 1997 | [56] |
JR山陰本線(嵯峨野線) | 二条駅 - 花園駅 | 1989 - 2002 | |
JR山陰本線・福知山線・京都丹後鉄道 | 福知山駅付近 | 1996 - 2009 | |
JR片町線(学研都市線) | 住道駅付近 | 1975 - 1991 | [57] |
JR阪和線 | 美章園駅 - 杉本町駅付近 | 1982 - 2007 | [56] |
JRおおさか東線 | JR長瀬駅付近 | 1999 - 2016 | [57] |
JR山陽本線(JR神戸線)・加古川線 | 加古川駅付近 | 1993 - 2005 | [58] |
JR山陽本線(JR神戸線)・播但線・姫新線 | 姫路駅付近 | 1988 - 2010 | |
JR関西本線(大和路線)・桜井線(万葉まほろば線) | 奈良駅付近 | 1997 - 2012 | [56] |
京阪本線 | 三条駅 - 東福寺駅 | 1977 - 1988 | |
近鉄京都線 | 京都駅 - 東寺駅 | 1966 - 1969 | |
東寺駅 - 竹田駅 | 1989 - 2002 | ||
阪急京都本線 | 洛西口駅付近 | 2006 - 2017 | [59] |
京阪本線 | 守口市駅 - 萱島駅付近 | 1972 - 1982 | [57] |
京阪本線・交野線 | 枚方市駅付近 | 1975 - 1994 | |
京阪本線 | 寝屋川市駅付近 | 1981 - 2001 |
ギャラリー
脚注
注釈
出典
- ^ 八木田功 1969, p. 2.
- ^ a b c 最新土木工事ハンドブック編集委員会 1978, p. 805.
- ^ 中村正明 & 秋本邦雄 2001, p. 656.
- ^ 柴垣寛 1966, p. 32.
- ^ a b c d 古川淳三 1931, p. 38.
- ^ a b 小野田滋 2001, p. 115.
- ^ 小野田滋 2001, p. 123.
- ^ a b c 下山武夫 1931, p. 37.
- ^ 小野田滋 2014, p. 167.
- ^ 小野田滋 2014, p. 170.
- ^ 柴垣寛 1966, p. 144.
- ^ 柴垣寛 1966, p. 145.
- ^ a b c 柴垣寛 1966, p. 178.
- ^ 寒川重臣 1969, p. 41.
- ^ 寒川重臣 1969, p. 41,43.
- ^ a b c 八木田功 1969, p. 4.
- ^ a b c 八木田功 1969, p. 5.
- ^ a b c d 八木田功 1969, p. 6.
- ^ 寒川重臣 1969, p. 41,43,46.
- ^ 吉田忠司 & 丸山修 2008, p. 820.
- ^ 岡野賢二, 三宮隆 & 須藤勉 2007, p. 28.
- ^ 街路事業(都市計画道路事業)一覧 - 札幌市
- ^ JR埼京線(十条駅付近)連続立体交差事業および都市計画道路事業の事業認可の告示について - 東京都北区
- ^ JR東日本南武線連続立体交差事業の取組状況について (PDF) - 川崎市 p.3
- ^ 鉄道高架事業 - 沼津市
- ^ はんだ市報2025年4月号 (PDF) - 半田市
- ^ 広島市東部地区連続立体交差事業船越地区の工事説明会 (PDF) - 広島市
- ^ 東武鉄道伊勢崎線・野田線(春日部駅付近) - 埼玉県
- ^ 事後調査計画(事後調査報告書の提出時期) (PDF) - 東京都 p.48
- ^ 西武新宿線 中井駅 - 野方駅間 事業調査計画の見直し (PDF) - 東京都
- ^ 西武新宿線(井荻駅 - 西武柳沢駅間)連続立体交差事業 - 東京都
- ^ 西武新宿線 東村山駅付近 事業調査計画の見直し (PDF) - 東京都
- ^ 京成押上線 事業調査計画の見直し (PDF) - 東京都 p.14
- ^ 京王電鉄京王線(笹塚駅 - 仙川駅間)連続立体交差事業 - 京王電鉄
- ^ 品川駅の改良について (PDF) - 東京都港区 p.1
- ^ 京浜急行大師線連続立体交差事業1期2区間の検討結果及び今後の取組方針について (PDF) - 川崎市 p.14
- ^ 相模鉄道本線(鶴ヶ峰駅付近)連続立体交差事業 - 横浜市
- ^ 令和5年6月予算特別委員会 - 富山県議会
- ^ 名鉄名古屋本線鉄道高架化事業 (PDF) - 岐阜県 p.16
- ^ 知立駅付近連続立体交差事業の概要 - 知立市
- ^ 鉄道高架化通信 第41号 (PDF) - 豊田市
- ^ 第9回 堺市公共事業評価監視委員会審議対象事業説明資料 (PDF) - 堺市 p.5
- ^ 都市計画対象事業の名称、目的及び内容 (PDF) - 堺市 p.12
- ^ 高架工事のお知らせ (PDF) - 大阪府
- ^ 阪急電鉄京都線(摂津市駅付近)連続立体交差事業について - 摂津市
- ^ 阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事業の事業期間の見直しについて - 大阪市
- ^ 再評価チェックリスト (PDF) - 東京都
- ^ 令和6年度 投資事業評価調書 (PDF) - 兵庫県
- ^ 西武新宿線(野方駅 - 井萩駅付近) - 東京都
- ^ 京成本線等(京成高砂駅 ‐ 江戸川駅付近) - 東京都
- ^ 品川区総合実施計画 (PDF) - 品川区 p.218
- ^ 名鉄名古屋本線(桜駅 - 本星崎駅間)連続立体交差事業 - 名古屋市
- ^ JR片町線・東西線連続立体交差事業 (PDF) - 大阪市 p.22
- ^ 山陽電鉄本線高砂駅 - 荒井駅付近連続立体交差事業 - 兵庫県
- ^ 近鉄大和西大寺駅・平城宮跡周辺の渋滞踏切の解消に向けた取組(連続立体交差事業等)の推進 (PDF) - 奈良県
- ^ a b c 連続立体交差事業完了箇所一覧 (PDF) - 日本交通計画協会
- ^ a b c 大阪府の連続立体交差事業(事業完了箇所) - 大阪府
- ^ 兵庫の連続立体交差事業 - 兵庫県
- ^ 阪急京都線(洛西口駅付近)連続立体交差化事業 - 京都市
参考文献
- 岡野賢二、三宮隆、須藤勉「23区初の区施行による連続立体交差事業--東武伊勢崎線(竹ノ塚駅付近)」『土木施工』第48巻第8号、オフィス・スペース、2007年8月、28-32頁。
- 小野田滋「阿部美樹志とわが国における黎明期の鉄道高架橋」『土木史研究』第21巻、土木学会、2001年5月、113-124頁、doi:10.2208/journalhs1990.21.113。
- 小野田滋『関西鉄道遺産』講談社、2014年10月20日。ISBN 978-4-06-257886-8。
- 最新土木工事ハンドブック編集委員会「立体交差」『最新土木工事ハンドブック』建設産業調査会、1978年6月、804-808頁。
- 寒川重臣「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定及び概説」『新都市』第23巻第12号、都市計画協会、1969年12月、41-49頁。
- 柴垣寛『立体交差工事の設計と施工』 1巻(第1版)、山海堂〈鉄道土木シリーズ〉、1966年10月31日。
- 下山武夫「京阪電鉄京都地下線の建設工事」(PDF)『土木建築工事画報』第7巻第9号、土木学会附属土木図書館、1931年9月1日、37-43頁、2022年4月5日閲覧。
- 中村正明、秋本邦雄「西武鉄道池袋線と目白通りの逆立体化切替工事」『日本鉄道施設協会誌』第39巻第8号、日本鉄道施設協会、2001年8月、656-658頁。
- 古川淳三「神戸市街線高架改修工事に就いて」(PDF)『土木建築工事画報』第7巻第10号、土木学会附属土木図書館、1931年10月1日、38-43頁、2021年8月18日閲覧。
- 八木田功「鉄道高架事業(所謂連続立体交差事業)について」『新都市』第23巻第12号、都市計画協会、1969年12月、2-8頁。
- 吉田忠司、丸山修「連続立体交差化に関する手引書の改訂」『日本鉄道施設協会誌』第46巻第10号、日本鉄道施設協会、2008年10月、819-821頁。
関連項目
- 開かずの踏切
- 通勤五方面作戦
- 特定都市鉄道整備促進特別措置法
- 特定都市鉄道整備積立金
- 東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近連続立体交差事業 - 東京23区初の事業。
- 台鉄捷運化・広域電鉄 - 台湾や韓国における都市鉄道の改良事業。
外部リンク
- 連続立体交差事業等による踏切対策の実施 - 国土交通省
- 踏切のない快適なまちへ - 全国連続立体交差事業促進協議会
- 連続立体交差のページへのリンク