警視総監との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:18 UTC 版)
警視総監は、都警察である警視庁の職員でありながら地方警務官として国家公務員(警察キャリア)たる地位を有しており、この点が消防総監との最大の相違点である(都道府県警察に所属する警察官のうち国家公務員であるのは警視正以上であり、警視以下は地方公務員である)。 消防総監は警視総監とは異なって地方公務員であり、国家公務員である警視総監とは身分や任免に関する扱いが異なるということからも、警察は国家主体であるのに対して消防は自治体主体(総務省消防庁は自治体消防への助言・指導・調整をする権能のみ)となっていることが現れている。 警視総監との立場関係や扱いの差異に関しては国家公務員・地方公務員の立場関係上、警視総監のほうが優遇された扱いをされることが多い。警視庁は管轄上、東京都の警察機関ということになっているので、東京都機関のトップという観点のみで考えれば同列といえなくもないが、法的には厳格に立場が違う。全体的に両者の関係は、相互の指揮命令関係はないものの、警視総監のほうが格上であるとされる。 なお、戦前の日本の消防は警察の中に組み込まれていたが、1948年3月に消防組織法が施行されたことによって、消防が警察から独立するとともに、警察の消防に対する指揮命令権も消滅した(東京都以外の道府県についても、これと同様の扱いとなっている)。 上記は現行の警察法と消防組織法に基づく警視総監と消防総監の地位の比較である。ちなみに、東京消防庁が発足し、消防総監が同庁に属する消防吏員の最上位となった当時に施行されていた旧警察法によれば、当時の警視庁も「特別区の連合体」(旧東京市の地位を承継した東京都)の設置する機関として組織されるとともに管轄範囲も特別区に限られ(同法第51条)、警視総監も東京都知事が所管する「特別区公安委員会」が任命する「東京都の公安職公務員」であり(同法第52条の2)、かつ、その職名も警察法上では「特別区の警察長」と規定されるにすぎず(同法第52条の2第1項)、その階級の根拠規定も、法律ではなく東京都の条例に過ぎなかった(同法第53条において準用する同法第46条第1項)など、現在の東京消防庁・消防総監の構成にかなり近いものであった。ただし、特別区の警察長の罷免には内閣総理大臣の意見を聞く必要がある(第52条の2第2項)など、わずかな違いは存在している。詳しくは東京消防庁#消防総監参照。 制服の階級章は金の地に消防章が4つ。警察官の階級章は警視総監のみが両肩への肩章になっているのに対し、消防総監は他の消防吏員同様、右胸に着用する。
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