認知再構成法とは? わかりやすく解説

認知再構成法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/13 01:27 UTC 版)

認知再構成法(にんちさいこうせいほう、cognitive restructuring、略称:CR)は、多くの精神疾患に共通する認知の歪み[1]の、白か黒かの思考(分裂)呪術的思考、過度の一般化、拡大解釈[1]、および感情的推論などとして知られる非合理的または非適応的な思考を特定し、反論することを学ぶ心理療法[2]

CR は、ソクラテス式質問、思考記録、誘導イメージなどの多くの戦略を採用しており、認知行動療法 (CBT) や理性感情行動療法(REBT) など、多くの心理療法で使用されている。 多くの研究で、CRに基づいた治療法の有効性が実証されている [3] [4] [5]

概要

認知の再構築は、ある状況への感情を変化させるために、その状況の認知を変更しようとする技法である。アーロン・ベックが開発した認知療法の一つである。認知の再構築を行うと、感情制御に関する前頭前野皮質が活性化する。この技法は、結果を個人の欠点や欠陥と捉えるのではなく、一時的で変更可能な状況を原因とするよう促す。(例:面接で不合格の時に「私には能力がない」を「私の能力と会社が求める能力に違いがあった」と捉え直す)。認知の再構築は、必ずしも喜びや幸福をもたらすものではないが、抑うつの軽減には繋がる。 [6]

批評

認知再構成法の批評家は、この方法が問題を解決するのではなく、望ましくない考えを無視したり避けたりするだけ、また実生活の訓練が必要なためすぐに効果が出ないと主張している。 [7] その他の批判としては、この方法は機械的で非人間的であり、セラピストとクライアントの関係は無関係であるという点がある。[要出典]ニール・ジェイコブソンの認知行動療法(CBT)の要素分析では、少なくともうつ病の場合、認知再構築要素は不要であると主張している。 CBTによって行われる認知再構成ではなく、CBTの行動活性化要素が治療に効果的であるとしている。 [8] 認知再構成法を使って考え方を変える必要はないと主張する批評家もいる。 [9]

関連項目

脚注

  1. ^ a b Gladding, Samuel. Counseling: A Comprehensive Review. 6th. Columbus: Pearson Education Inc., 2009.
  2. ^ Ryan C. Martin; Eric R. Dahlen (2005). “Cognitive emotion regulation in the prediction of depression, anxiety, stress, and anger”. Personality and Individual Differences 39 (November 2005): 1249–1260. doi:10.1016/j.paid.2005.06.004. 
  3. ^ Cooper P.J.; Steere J. (1995). “A comparison of two psychological treatments for bulimia nervosa: Implications for models of maintenance”. Behaviour Research and Therapy 33 (8): 875–885. doi:10.1016/0005-7967(95)00033-t. PMID 7487847. 
  4. ^ Harvey L.; Inglis S.J.; Espie C.A. (2002). “Insomniacs' reported use of CBT components and relationship to long-term clinical outcome”. Behaviour Research and Therapy 40 (1): 75–83. doi:10.1016/s0005-7967(01)00004-3. PMID 11762429. 
  5. ^ Taylor S.; Woody S.; Koch W.J.; McLean P.; Paterson R.J.; Anderson K.W. (1997). “Cognitive restructuring in the treatment of social phobia”. Behavior Modification 21 (4): 487–511. doi:10.1177/01454455970214006. PMID 9337603. 
  6. ^ デヴィッド・A・クラーク『気分改善ツールキット』金剛出版。 
  7. ^ Eifert, G. H., & Forsyth, J. P. (2005). Acceptance and commitment therapy for anxiety disorders: A practitioner’s treatment guide to using mindfulness, acceptance, and values-based behavior change strategies. Oakland, CA: New Harbinger.
  8. ^ A component analysis of CBT for depression”. www.actmindfully.com.au. 2024年6月28日閲覧。
  9. ^ Do we need to challenge thoughts in CBT?”. www.actmindfully.com.au. 2024年6月28日閲覧。

外部リンク


認知再構成法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 04:40 UTC 版)

広場恐怖症」の記事における「認知再構成法」の解説

まず、認知再構成法により、「不安に思っている場所・状況は、危険ではなく安全である」・「身体症状パニック発作など)は危険なものではなく、体に無害である」・「不安や身体症状時間経過とともに必ず収まる」という認知形成できるよう支援する加えて、「考えていること(不安)と事実が別であること」に気づけるようサポートする、脱フュージョン技法が有効であるとした研究もある。

※この「認知再構成法」の解説は、「広場恐怖症」の解説の一部です。
「認知再構成法」を含む「広場恐怖症」の記事については、「広場恐怖症」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「認知再構成法」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「認知再構成法」の関連用語

認知再構成法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



認知再構成法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの認知再構成法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの広場恐怖症 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS