試験品の搭載
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:34 UTC 版)
試作電動カム軸式制御器試験 1948年からモハ63形約20両に、構造が簡素で軽量となった試作電動カム軸制御器を搭載して約3年間実用試験を実施した。この試験結果を受けて電動カム軸式制御器のCS10(直列7段・並列6段、並列弱め界磁1段。弱め界磁率60%、弱め界磁/起動減流抵抗による減流起動機能付き)が制式化され、1951年製作の80系や70系などに搭載、さらに翌1952年以降は弱め界磁率を60%と75%の2段構成に改良したCS10Aが、それらの各系列と本系列の改良型である72系にも搭載された。このCS10では直並列切り替え時に牽引力の低下がほぼ発生しない「橋絡わたり」接続が国鉄電車用制式制御器では初めて採用され、主回路制御段数の多段化と共に加速時の衝動を低減した。 試作台車試験 サハ78形には川崎車輌製のOK1や三菱三原車両製のMD1を装着して試験が行われた。 蛍光灯試用 1946年2月にモハ63028に蛍光灯を設置して横浜線で試用し、その後1947年に製造されたジュラルミン車体のモハ63900 - 63902およびサハ78200 - 78201にも蛍光灯が採用されたが1948年に白熱電球に交換されている。その後、1948年には東京芝浦電気(現東芝)および小糸製作所製で100 V/17 Wの直流蛍光灯を蒲田電車区のモハ63形22両に各車10 - 15灯を何種かのパターンで設置し、9月から約3ヶ月間京浜東北線で試用しているが、これらの車両も試験後に白熱電球に戻されている。 高速度減流器の試用 CS10主制御器に使用されていたCB7断流器に代わる三菱電機製の高速度減流器であるHB414を1950年1月にモユニ81006およびモハ63524に搭載して試用している。 PB2A制御器の試用 1943年に鶴見臨港鉄道が国鉄に買収された際に、当時同社の電車に搭載するために東京芝浦電気に発注して製造途中であったPB2A主制御器2基が国鉄に引継がれ、その後国鉄に納入されているが、これを1950年12月に大井工場でモハ63630、モハ63848に搭載して試用している。この主制御器は、力行時の加速度の確保と衝動の低下を目的に開発されていたが第二次世界大戦の影響により開発中止となった、油圧カム軸式の多段式制御器である予定形式CS8と同様の設計のものであった。
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