試験内容に関するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:23 UTC 版)
「大学入試センター試験」の記事における「試験内容に関するもの」の解説
1994年度から学年進行で実施された学習指導要領の改定に伴い、1997年度から、数学では旧課程履修者(浪人生)のために「旧数学I、旧数学II」、新課程履修者(現役生)のために「数学I・A、数学II・B」の2種類の試験科目が設けられた。現役生は新課程のみ選択可能であった。浪人生は旧課程・新課程のどちらかを選択可能であったが、履修範囲外の問題が出る新課程を選択する者は少なく、殆どは旧課程を選択した。しかし大学入試センターが公表した平均点は、数学I・Aは66.4点、旧数学Iは59.8点と約7点差、数学II・Bは63.9点、旧数学IIは42.2点と約22点差で、いずれも旧課程科目の方が平均点が低かった。通常は浪人生の方が同じテストでも10点近く平均点が高いことを考慮すると、実質的には数学Iで17点、数学IIでは32点と合計約50点もの差となる。このため全国の浪人生や予備校などから抗議の声が上がった。大学入試センターは「今後は難易度に差が生じないように配慮する」というコメントを発表し、同年に刊行された「大学入試センター試験・試験問題評価委員会報告書」の冒頭において陳謝している。しかし事前にどのような防止策を行っていたのか、あるいは何も実施していなかったのかについては公表されなかった。文部省の指示により二段階選抜の取りやめが行われたが二浪が多く生じた。このことは当時「浪人生の悲劇」と言われていた。 1998年度の本試験「英語」第5問で虫歯治療に関する英文が出題されたが、その内容が現在の歯科技術に全く反するものであるとして、全国保険医団体連合会歯科協議会会長が大学入試センターに意見書を提出した。 2001年度の本試験「英語」第6問の小説文が、三友社出版発行の高等学校英語教科書掲載の文章と出典が同じで、ストーリーも酷似していたことが指摘された。ただし、この教科書がシェア0.25%(採択部数:4,000部)と少なく、さほど大きな問題とはなることはなかった。 2004年、東北大学教授の森田康夫が、センター試験の数学の問題は「計算力」で解けてしまうため「数学力」の判定にはならないという批判を朝日新聞に寄稿した。森田の調査によれば、東北大学が独自に行う二次試験の数学の成績とセンター数学の成績に特に強い相関関係は見られなかったという。 2004年度の本試験「世界史」について、新しい歴史教科書をつくる会は「強制連行」などを確定的事実として扱っており公正であるべきセンター試験がイデオロギー的に偏向していると批判し、同年7月には当時の受験生が原告となって大学入試センターを提訴した。また、藤岡信勝は過去のセンター試験の日本史・世界史の問題25年分を検証し、類似の問題点を含む出題が多数あることを指摘している。なお、訴訟は2005年10月25日に原告請求を棄却する旨の判決が確定している。
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