設置又は管理に瑕疵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 03:36 UTC 版)
通常有すべき安全性を欠いていること。 瑕疵に関わる判例 最高裁昭和45年8月20日判決・民集第24巻9号1268頁営造物の設置または管理の瑕疵に基づく国および公共団体の損害賠償責任については、過失の存在を必要としない。 最高裁昭和50年7月25日判決・民集第29巻6号1136頁故障した大型貨物自動車が約87時間駐車したままになつていたにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持のために必要な措置を全く講じなかつた判示の事実関係のもとにおいては、道路の管理に瑕疵がある。 最高裁平成5年3月30日判決・民集第47巻4号3226頁幼児が公の営造物を設置管理者の通常予測し得ない異常な方法で使用して生じた事故については設置管理者は損害賠償責任を負わない。公の営造物の瑕疵と損害との間に相当因果関係が認められないからである。 特に問題となるのは水害訴訟である。 最高裁昭和59年1月26日判決・民集38巻2号53頁(大東水害訴訟)「未改修河川」の安全性について、同種・同規模の河川の管理の一般水準および社会通念に照らして是認しうる安全性を備えているかどうかを基準として判断すべきである。未改修の部分で水害が発生しても、河川管理者たる国には損害を賠償する責任はないとして訴えを退ける。 最高裁平成2年12月13日判決・民集44巻9号1186頁(多摩川水害訴訟)「改修済み河川」の安全性について、予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を基準として判断すべきである。国の責任を認めて国に賠償を命じる。 最高裁平成8年7月12日判決・民集第50巻7号1477頁(平作川水害訴訟・吉井川水害訴訟)河川法の適用のないいわゆる普通河川についても、河川管理についての特質及び諸制約が存することは異なるところがなく、河川管理の瑕疵の一般原則が当てはまる。 既に改修計画が定められ、これに基づいて「現に改修中である河川」であっても、水害発生の時点において既に設置済みの河川管理施設がその予定する安全性を有していなかったという瑕疵があるか否かを判断するには、右施設設置の時点における技術水準に照らして、右施設が、その予定する規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を備えているかどうかによって判断すべきである。 判断基準新主観説・義務違反説 客観説 折衷説 他の責任者への求償権
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