記者という選択肢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 04:33 UTC 版)
「ジェイコブ・リース」の記事における「記者という選択肢」の解説
うんざりした彼は収容施設を出た朝、ニューヨークを去り、彼の最後の所持品であったシルクのハンカチを売って船の切符を買った。不定期の仕事をし、貨物列車で密行しながら、リースはついにフィラデルフィアへとたどり着いた。そこでデンマーク領事のFerdinand Myhlertzに援助を訴え、領事とその妻に2週間世話になった。 領事は、今やきちんとしたスーツに身を包んだリースをジェームズタウンの古いクラスメートの家へと遣った。リースはニューヨーク州西部に位置するこの街のスカンディナビア人コミュニティの中で大工として働き、また様々な他の仕事もした。彼は経済的に十分安定し、英語とデンマーク語両方で文筆家としてのキャリアを試みるための時間を手に入れたが、バッファローの新聞への就職は失敗し、雑誌社も彼の提案を断った。 ただ、彼はこの頃から事実を追求する記者の仕事は、色々の職業の中で最も価値あるものと考えるようになり、またかつて父も地方紙の編集をしていたということも彼をそのような職業選択へと向かわせた。新聞社に断られたことはリースにとっては「高慢の鼻をへし折る事件」であったとのちに述べているが、それでもむしろ彼の記者になろうという決意は固まっていったという。 リースがその地で大工として引っ張りだこであった主な理由は、価格が安かったからであった。しかしながら雇い主たちは彼の効率の良さと賃金の安さに付け込んだので、リースはニューヨークに戻った。彼は特にアイロンのセールスマンとして最も成功し、イリノイでの営業担当者に昇進した。しかしながらシカゴでは金と在庫を両方騙し取られて、最初の拠点であったピッツバーグに戻らなければならなくなった。そこで彼はペンシルベニアでの営業のために残してきた部下が同じやり口で彼を騙していたことに気づいた。彼は再びほとんどの金を失い、熱で寝たきりでいる間に彼のかつての愛情の対象であったエリザベスが騎兵隊の将校と婚約したことを手紙で知った。こうしてリースは道々アイロンを売りながらニューヨークへと戻ったのであった。この時期のリースは、どこか辺境にでも落ち延びたいと漠然と思いつつも、行商の傍ら電信を習いに職業訓練校に通っていた。
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