記者と共産党の対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/27 23:30 UTC 版)
「南方週末社説差し替え事件」の記事における「記者と共産党の対立」の解説
1月4日、編集部は検閲を通過していたにもかかわらず記事の差し替えを要求されたことを不当として、元記者や編集者など約50人が連名で事件の徹底的な調査と、共産党規約に基づき宣伝部のトップである庹震部長の謝罪と辞任を要求する声明を中国版ツイッター新浪微博にて発表。本来掲載されるはずだった文章もネット上で公開し、重大な出版上の事故であると非難した。しかしその後、編集者らの微博は閲覧が不可能になった。翌1月5日には、宣伝部によって記事の書き換えや掲載を認められなかった記事は2012年だけで1,034本あったとする抗議声明をインターネット上に発表するなど、これまでの党による検閲の実態を訴えた。 1月6日、『南方週末』の記者が微博のアカウントのパスワードを上層部に押さえられたことを微博で暴露。直後、『南方週末』の公式アカウントには「読者に告ぐ」と題した文章が掲載され、新年号の社説には一部に誤りがあったと謝罪する一方で、社説は責任者が書いたものであり、ネット上で流れている当局による差し替えの噂は事実ではないとした。これにより編集部上層部の共産党支持が明らかとなり、記者との対立が激化した。この発表に『南方週末』の記者など約100人が共同声明を発表し、抗議の意志を表明。宣伝部の圧力がかかった偽の声明であると反発し、一部の記者がストライキに突入した。 編集部が抗議声明を発表した1月4日には中国共産党の全国宣伝部長会議が開かれ、報道機関に対し党と政府の主張を広めるよう要求。『人民日報』の国際版『環球時報』は、中国の報道機関には言論統制が必要であり、西側諸国のそれとは違うと主張した。また6日の編集部上層部による「介入否定」の発表を利用し、『環球時報』は政府に対して公開の場で対抗する選択肢は西側諸国ですらありえないと翌7日付の社説で主張。そのような試みを行えば必ず敗者となるとするなど、強硬姿勢を明確にした。なお、7日には党中央宣伝部が国内の報道機関に対して、この社説を転載するよう指示し、8日には各紙は転載を開始。これに対し、北京の有力紙『新京報』の社長が抗議のため辞任を表明する事態に発展した。
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