衣笠反撃と戦闘終了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 14:24 UTC 版)
単縦陣(青葉-古鷹-衣笠)最後尾の衣笠は初雪と共に取舵をとって左反転し、アメリカ艦隊の砲撃から抜け出しつつ反撃を行った。この理由について衣笠側は、「敵艦の先制攻撃が第一小隊である青葉と古鷹に集中しており、これ動きに続いた場合、敵艦の集中砲撃を受ける可能性が大きかったため反転を決意した」との行動調書に残している。2隻(衣笠、初雪)が左回頭を行う直前にアメリカの駆逐艦ダンカンが接近して砲撃を加えたが、衣笠は主砲と高角砲にて反撃を行った。ダンカンはこの砲撃を切り抜け古鷹への雷撃を成功させたが、味方であるアメリカ艦隊の誤射を受けて沈没してしまっている。 衣笠が左反転をしている中、アメリカ艦隊は2153から2158の間に針路を230度(南西)から300度(西北)に変針し、青葉と古鷹を追撃しようとした。しかし、目標を捉えることが出来なかったため、スコット少将は2200に「撃ち方止め」の命令を下した。ほぼ同時刻、衣笠は北西に進路をとってアメリカ艦隊と同航状態となり攻撃を開始した。 まず2203、衣笠は目標の「ロンドン型大巡1隻」に雷撃を行った。この目標となったボイシは2206に雷跡を発見して右急回頭を行い、50ヤード(約45m)の距離で回避した。この際、衣笠から敵巡洋艦の姿が見えなくなったため、衣笠側では目標が轟沈したと認識していた。続いて衣笠はボイシと砲撃戦を行い、ボイシに20.3cm砲弾4発とその他砲弾を命中させた。1発は3番砲の装甲によって破砕したものの、もう1発は1番砲に命中し旋回不能の損害を与え、残り2発は水面下に損害を与えた。この内1発は2番砲塔装薬室で炸裂して火災が発生したものの、浸水が消火の役目を果たした。この水面下命中弾による被害により、ボイシは前部主砲が射撃不能となり浸水による速度低下が発生した。さらに火災が発生したこともあって、ボイシは2213に左へ回頭し戦線を離脱した。 その後、衣笠は2213からソルトレイクシティーと断続的に砲撃戦を行い、20.3cm砲弾2発を命中させたがこれによる損害は軽微であった。2217に両艦はお互いを見失い砲撃を中止、衣笠は青葉とともに戦場を離脱した。この海戦で衣笠は主砲80発、高角砲11発、魚雷16本を発射したという記録が残っている。 一方のアメリカ艦隊側はこの戦闘で衣笠を撃沈したと認識しており、後に日本艦隊を発見できなかったことから、2227にスコット少将は戦闘を中断。針路を220度(南西)に向けて戦場を離脱し、戦闘は終了した。
※この「衣笠反撃と戦闘終了」の解説は、「サボ島沖海戦」の解説の一部です。
「衣笠反撃と戦闘終了」を含む「サボ島沖海戦」の記事については、「サボ島沖海戦」の概要を参照ください。
- 衣笠反撃と戦闘終了のページへのリンク