藤田家本
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藤田美術館蔵、1巻、絵・詞書各5段、国宝。1917年(大正6年)まで館林藩秋元家に伝来。言い伝えによると江戸時代初め後水尾天皇からの拝領品だという。秋元家の美術品売立で藤田家が落札し、のち美術館のコレクションに加えられた。内容は日記の前半、蜂須賀家本に続く場面であり、寛弘5年9月15日・17日の敦成親王誕生第五夜と第七夜の産養の場面が中心。第5段は10月16日の一条天皇の土御門邸への行幸の日の様子。 第一段 - 9月15日、敦成親王誕生第五夜の産養の後の賜禄。 第二段 - 9月16日、十六夜(いざよい)の月の夜の舟遊び。 第三段 - 同夜、土御門邸に内裏の女房たちが祝いに駆け付ける。邸の北門付近に並ぶ牛車を描く。 第四段 - 9月17日、公(朝廷)が主催する、誕生第七夜の産養。 第五段 - 10月16日、一条天皇の土御門邸行幸当日の朝、池に浮かべた龍頭鷁首(りょうとうげきす)の船を見る道長。 第五段の絵と詞は別々のものである。第五巻の絵に照応する詞の部分は、この一巻が秋元家の所蔵であった時代に切り離されて別途保管されていたが、関東大震災で焼失した。現在は当該詞書の模本(田中親美模)のみが残っている。現状、第五段の絵の直前にある詞は、「一条天皇の土御門邸行幸の近づくある日、(紫式部は)もの思いにふけり、池の水鳥に思いをよせる歌を詠んだ」という内容で、現存する絵巻にはこの詞に相応する絵はない。 藤田本より 第一段 敦成親王誕生第五夜の産養の後の賜禄。禄を受けて退出する者(右)と禄を受けつつある者(左) 第二段 十六夜の月の夜の舟遊び。 第三段 敦成親王誕生第五夜の産養の日の夜、土御門邸に内裏の女房たちが祝いに駆け付ける。邸の北門付近に並ぶ牛車。 第四段 公(朝廷)が主催する、敦成親王誕生第七夜の産養。御帳台に臥す中宮(左端)と控える女房たち。(画面の変色が著しい)
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