薬物との相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 14:32 UTC 版)
「グレープフルーツジュース」の記事における「薬物との相互作用」の解説
「en:Grapefruit–drug interactions」も参照 グレープフルーツジュースやグレープフルーツは、シトクロムP450のスーパーファミリーを構成する分子種の1つであるCYP3A4を阻害することが知られている。多種多様な薬物の代謝に影響を与え、生物学的利用能を増大させる(つまり薬の作用が想定しているよりも、強くなり過ぎるのである)。例えば、アステミゾールやテルフェナジンでは、致命的な薬物相互作用を起こしたため、それらの医薬品が市場から撤退した一因となった。 主に小腸において、CYP3A4に直接結合して不可逆的に阻害し、その作用は3-4日継続するため、同時に摂取することを禁止するのではなく、服薬前後のグレープフルーツジュースの摂取自体を禁止する必要がある。この作用は、グレープフルーツジュースを最後に飲んでから3日から7日継続する。特に肝硬変や、複数の薬を飲んでいる高齢者では、このグレープフルーツジュースと薬物の相互作用の影響が強く出て、健康被害が生じ易くなる。 ある薬剤では、最高血中濃度がグレープフルーツジュースと同時に摂取した場合には約3倍に、グレープフルーツジュースを5日間定期的に飲んだ後では約5倍である。また異なる薬剤間での血中濃度の高まり方は一律ではなく、大きく異なる。シンバスタチンでは、12倍から13.5倍の血中濃度となった。 およそ85種類の薬と薬物相互作用を起こし、そのうち約半数の種類の薬では重篤な副作用を起こして、死亡にかかわる危険性がある。 グレープフルーツ摂取の影響で、CYP3A4による代謝が阻害される薬剤の種類としては、マクロライド系抗生物質、抗真菌薬、オピオイド、カルシウム拮抗剤、多くのベンゾジアゼピン、一部の抗うつ薬や抗精神病薬など、他にも多様である。 増強する薬として以下のものが挙げられる。全ての列挙ではなく、一部であるため、不明点は薬剤師に相談すること。 オキシコドン ジアゼパム アルプラゾラム ロラゼパム ロフラゼプ酸エチル ミダゾラム トリアゾラム クアゼパム カルバマゼピン(テグレトール) シクロスポリン デキストロメトルファン フェロジピン ケタミン シルデナフィル(バイアグラ) いくつかの種類の抗ヒスタミン薬アステミゾール テルフェナジン ワルファリン リドカイン タダラフィル 詳細は「CYP3A4#CYP3A4のリガンド」を参照 研究は積み重ねられているが、2010年の時点で、医師や薬剤師に対して正確な情報が提供されていなかったり、添付文書に最新の知見が反映されていなかったりする。
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