英語圏における歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/07 15:58 UTC 版)
このジャンルの基礎は1895年のH・G・ウェルズの小説『タイム・マシン』で既に形成されていたが、一般にはドゥーガル・ディクソンによる1981年の著書『アフターマン』で確立されたとみなされている。『アフターマン』では現在から500万年後の未来の生態系が完全に写実された。後述するSFドラマ『プライミーバル』に登場したコウモリの子孫は、『アフターマン』に登場するナイトストーカーに影響されたのではないかとディクソンやダレン・ナイシュは推察している。ディクソンの3作目の思弁進化作品『マンアフターマン』(1990年)もまた未来進化の例であり、この作品では人類の未来の進化が空想されている。 古生物学者ピーター・ウォード(英語版)の Future Evolution(2001年)では科学的に正しいアプローチで未来における進化パターンが予測されており、ワードは自身の予測をディクソンやウェルズの予測と対比した。彼は大量絶滅と生態系の回復のメカニズムを理解しようとした。鍵となるポイントは、多様化・種分化の率が高いチャンピオン・タクサが大量絶滅後の世界を継承するという点である。ワードはドゥーガル・ディクソンの動物群がファンタジー的あるいは気まぐれ的であり、生物は自然の傾向に合わせて同じボディプランに収束する、と指摘した古生物学者サイモン・コンウェイ・モリスの指摘を引用した。ウォードはディクソンの展望を半ば気まぐれであると論じてウェルズの『タイム・マシン』の初期草案になぞらえた一方、それにも拘わらず思弁動物学における大きなトレンドである相似進化を使い続けた。 未来進化はテレビにも進出した。ドゥーガル・ディクソンを中心に製作されたモキュメンタリーシリーズ『フューチャー・イズ・ワイルド』(2002年)では500万年後・1億年後・2億年後の世界と生物相が描写され、ディクソンが執筆した対応する書籍版も出版された。未来生物が度々登場するSFドラマ『プライミーバル』(2007 - 2011年)も製作された。『プライミーバル』第3シリーズに登場したハチ目の昆虫の子孫は、視聴者が未来生物を投稿する大会で優勝した当時の少年カリム・ナハブーが考案したものであった。 未来進化のアイディアはSF小説にも頻繁に登場する。例えばカート・ヴォネガットの1985年のSF小説『ガラパゴスの箱舟(英語版)』では、アシカのような種に進化した人類の末裔の小規模なグループの進化が空想されている。スティーヴン・バクスターによる2002年のSF小説 Evolution は、5億6500万年に及ぶ人類の進化を追っており、6500万年前のトガリネズミのような哺乳類から、5億年後の人類とその生物学的・非生物学的子孫の最終的な運命までを辿っている。C・M・コセメンの2008年の著書 All Tomorrows も同様に人類の未来の進化を追っている。
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