花茎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/03 10:24 UTC 版)
花茎(かけい、英: scape)とは、草本植物において、花をつけるが普通の葉をつけない茎のことである。花茎はエビネ(ラン科)やイチヤクソウ属(ツツジ科; 図)、タンポポ属(キク科)などさまざまな植物にみられる。このような植物では、葉は地表付近から生じている (根生葉)。
花茎に似た用語として、有花茎(ゆうかけい)と有花枝(ゆうかし)がある。多年生草本において、花をつける茎と決して花をつけない茎がある場合、前者を有花茎とよぶ。また木本において、花をつける枝と決して花をつけない枝がある場合、前者を有花枝とよぶ。有花茎や有花枝は、花をつけない茎や枝とは異なる形態を示すことがある。
花茎
花茎とは、草本植物において、普通葉をつけず先端に花をつける茎のことである[1]。花茎につく花は単一のこともあるし、複数の花がつく場合もある。花茎をもつ植物では、普通葉は根生葉となっている。
花茎をもつ植物として、エビネ属(ラン科; 下図1a)、ヒガンバナ属(ヒガンバナ科; 下図1b)、オウレン属(キンポウゲ科; 下図1c)、チャルメルソウ属(ユキノシタ科)、スミレ(スミレ科; 下図1d)、カタバミ(カタバミ科)、イチヤクソウ属(ツツジ科; 上図)、オオバコ属(オオバコ科; 下図1e)、タンポポ属(キク科; 下図1f)などがある[1][2]。
オランダイチゴ属(バラ科)やホシクサ属(ホシクサ科)などでは、花序の下に小型の葉がついているが、これらの葉は苞であり普通葉ではないため、花をつけた茎は花茎である[1](下図2a)。またキジムシロ(バラ科)やアズマギク(キク科)において、花をつけた茎には葉がつくが(そのため花茎ではない)、根生葉にくらべて明らかに小型の葉がついており、このような茎は花茎状 (scapoid) とよばれる[1] (下図2b)。
テンナンショウ属(サトイモ科)やガマ属(ガマ科)も花茎をもつが、葉の基部が鞘状に重なった偽茎によって花茎がつつまれている[1]。そのため、花茎ではなく普通葉が生じている茎のように見えることがある (図2c)。
一般的に「ニンニクの芽」とよばれるものはニンニク(ヒガンバナ科)の花茎であり、食用にされる[3](上図2d)。
有花茎
多年生草本において、花をつける茎と決して花をつけない茎が存在することがある。このような場合、花をつける茎は有花茎 (flowering stem)、花をつけない茎は無花茎 (nonflowering stem) とよばれる[1]。
有花茎と無花茎は、花の有無以外にも、茎の性質や高さ、毛の有無、葉の大きさや形などが異なる。キクザキイチゲ (キンポウゲ科; 図3) では、無花茎は毛を散生するが、有花茎は無毛である[1]。ヤハズハハコ(キク科)では、無花茎の葉が有花茎の葉よりも幅広く、頂端付近にまとまってつく[1]。
多年生草本の中には、発芽後すぐに有花茎を伸ばす種もあるし、当初は無花茎のみが存在し、一定期間後に有花茎を伸ばす種もある[1]。
有花枝
有花茎・無花茎(上記)と同様に、木本において、花をつける枝と決して花をつけない枝が存在することがある。このような場合、花をつける枝は有花枝 (flowering branch)、花をつけない茎は無花枝 (nonflowering branch) とよばれる[1]。
イロハモミジ (図4) やイタヤカエデ(ムクロジ科)では、無花枝の葉は有花枝の葉よりも大きい[1]。キイチゴ属やバラ属(バラ科)では、地下茎から伸びた最初の枝は無花枝であり、翌年にここから伸びる側枝が有花枝となる[1]。
脚注
出典
関連項目
花茎
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「花茎」の例文・使い方・用例・文例
- 花茎で成るまたはそれに似た
- チューリップは花茎状花である
- 花茎状茎
- 花茎ずい柱
- 羽毛の花茎部
- ローゼット形成葉、花茎で繋がった小さな花の総状花序、または葉の多い茎を有する、多数のイヌナズナ属の多数の低成長するクッション形成植物の総称
- 2つの楕円形または丸い根元から出て地面に広がる葉の間に生える単一の花茎の上に、大きな緑がかった花の総状花序を持つ、白いラン
- 宿存性の革のような葉と1つの花が咲く花茎を持つ、アメリカの熱帯の着生のランの大きな属
- マスデバリア属に通常置かれる熱帯のアメリカの種類で成る:花茎につく小さな花のある小型の植物
- 米国東部のコシロギクで、水に沈んだスポンジ状の膨れた花茎と白い花がある
- 長く、草のような葉と赤または黄色の垂れた花の高い花茎を持つクニフォフィア属の植物
- 北米と南米花茎草本の属で、食用に適する大きな球根を持つ
- 大きな食用に適する球根と線形の根元から出ている葉と高く、緑色の花茎の上に薄い色から濃い色の青紫の星状の花の総状花序を持つ植物
- 温帯および熱帯地域の水生草本の属で、やじり状、または戟形の葉と白い花の花茎を持つ
- 通常2枚の対生葉が白い花の直生の総状花序につながる垂直の顕花茎にある北アメリカ北東部のチャルメルソウ
- 個々の花茎が幹線の様々なポイントから同じおよそ高さへ上方へ伸びている上部が平らであるか凸状な開花
- 蕗の若い花茎
花莖と同じ種類の言葉
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