脚韻、頭韻、類韻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:34 UTC 版)
詳細は「押韻」、「頭韻法」、および「類韻」を参照 脚韻、頭韻、類韻、子音韻は音声の反復するパターンを作り出す方法である。これらは詩の独立した構造要素として、リズムパターンを補強するために、あるいはまた装飾的な要素として使用されうる。 押韻とは、詩行の末尾(脚韻)もしくはその他の予測可能な位置(中間韻)に同一 (hard-rhyme) もしくは類似 (soft-rhyme) の音を置くことである。言語によって押韻構造の豊かさには差がある。例えばイタリア語は豊かな押韻構造を持ち、長大な詩を少数の脚韻の組で持続させることができる。この豊かさは規則的な形の語尾によるものである。英語は他言語から借用された不規則な語尾が多いので押韻にはあまり富んでいない。押韻構造の豊かさはその言語でどのような詩の形式が一般的に用いられるかを決定する上で重要な役割を担う。 頭韻と類韻は初期のゲルマン語、ノルド語、古英語の詩を構成する上で重要な役割を果たした。初期ゲルマン詩の頭韻パターンはその構造の主要部分としてメーターと頭韻を織り交ぜることで、メーターのパターンによっていつ聞き手が頭韻が来ると期待するかを決定できるようにした。これは、近代ヨーロッパ詩の大部分で見られる、規則的ではなかったり、連の全体で完遂はされなかったりする装飾的な頭韻の使用と対比することができるであろう。頭韻は押韻構造に富まない言語で特に有用である。類韻は語頭や語尾での似た音声ではなく語中の似た母音を用いるものであり、スカルド詩で広く用いられたが、これはホメロスの時代にまで遡る。英語では動詞が多くのピッチを持つため、類韻が漢詩の声調要素を緩やかに喚起させることができるので漢詩の翻訳に有用である。子音韻は1つの子音をセンテンスの至る所で(語頭だけではなく)反復するものである。子音韻は頭韻と比して微弱な効果しか引き起こさないので、構造的な要素としての有用性も低い。 『英詩への言語学的ガイド』(Longmans, 1969) においてジェフリー・リーチは韻を6つの音声パターンに分類した。これらは、関係する単語を構成する部分のうち1つまたは2つが変化しうる6つの可能な方法として定義されている。下表では不変の部分は大文字/太字で表示している。Cは子音群(1つの子音とは限らない)を、Vは母音を現す。 種別パターン英語例1英語例2フランス語例日本語例(擬似的)頭韻 C v c great/grow send/sit place/pleur めんこ/めだか 類韻(母音韻) c V c great/fail send/bell place/femme (めんこ/きんく) 子音韻 c v C great/meat send/hand place/tresse --- 逆韻 (Reverse Rhyme) C V c great/grazed send/sell place/plaque めんこ/めんつ en:Pararhyme C v C great/groat send/sound place/plusse めんこ/めのこ 脚韻 c V C great/bait send/bend place/masse めんこ/はんこ 共通する音素が多い押韻は「豊か」であると言われる(言語の押韻構造の豊かさとは別の概念)。例えばフランス語の agate/frégate は末尾の3音素が共通なので豊かであり、bijou/clou は母音1音素のみ共通なので貧しい。aigre/tigreは子音2音素が共通であるが、このように母音が共通しないものは子音韻であり脚韻とは見做されない。
※この「脚韻、頭韻、類韻」の解説は、「詩」の解説の一部です。
「脚韻、頭韻、類韻」を含む「詩」の記事については、「詩」の概要を参照ください。
- 脚韻、頭韻、類韻のページへのリンク