総合的品質管理
【英】:Total Quality Control
TQCは、「製品の品質を管理するためには、製造部門だけに任せていては効果が限定されるので、営業・設計・技術・製造・資材・財務・人事など全部門にわたり、さらに経営者を始め管理職や担当者までの全員が、密接な連携のもとに品質管理を効果的に実施していく」活動である。
TQCは、アメリカのファインゲンバウムが提唱した言葉である。
1970年代までは、デミングサークルやSQC(統計的品質管理)などの品質管理手法が、製造現場を中心に根付いていた。1980年代〜90年頃日本が急激な成長を遂げ、世界的にみて豊かな国のひとつになるにつれて、品質のよりよい製品・サービスを提供することを目指すようになり、組織全体で活動すべくTQCが誕生した。日本企業の多くが「QC7つ道具」「小集団活動」などを活用し、最も盛んに推進していた。
TQCを推進するポイントとして、次の7つが挙げられる。
(1) 教育や訓練を行う
(2) 管理サークル(Plan→Do→Check→Action)を回す
(3) 全社的推進組織を設置する
(4) QCサークルを導入し、全員参加のQC活動を進める
(5) 方針管理を実施する
(6) トップが診断を行う
(7) 品質保証システムを充実させる
最近は、品質管理だけに限定されず、幅が広がったため、TQM(Total Quality Management)と呼ばれていることが多い。
全社的品質管理
【英】:Total Quality Management
TQMは、米国でTQCから発展した活動であり、顧客が満足する品質を備えた品物やサービスを適時に適切な価格で提供できるように、企業の全組織を効果的・効率的に運営し、企業目的の達成に貢献する体系的活動である。
TQMではトップが総合的に経営の方針を立て、各部門に展開し、活動する。
TQCが各部門の最適化を目指す(部分最適)のに対し、TQMは経営全体の最適化(全体最適)を目指している。
活動内容としては、経営における品質優先の徹底、企画・開発から販売・サービスに至る全社的品質保証活動、経営者主導による全部門・全員参加のQC活動、方針展開とその管理などがある
TQM
TQM(Total Quality Management、総合的品質管理、総合的品質マネジメント、総合的品質経営)とは、TQCで唱えられた、組織全体として統一した品質管理目標への取り組みを経営戦略へ適用したものである。
概要
TQMは、1980年代のアメリカでその考え方が提唱された。当時は、日本の企業、特に製造業に対しての研究が盛んであった。その研究の中、日本独自の進化を遂げたTQC、QCに対して注目が集まった。両者ともアメリカから日本にもたらされたものである。トップダウン型のTQCは、日本ではQCサークルに代表されるボトムアップ型の活動に独自に進化し、日本型TQCと呼ばれていた。
日本型TQCの特徴であるQCサークルが持つ「カイゼンし続ける」という特徴を取り入れ、アメリカの企業風土に合うようにトップダウン型の意思決定プロセスによる品質マネジメントを行う手法、TQMが考え出された。また、単に製造業に留まらず、あらゆる業態の企業での適用が考えられたものである。品質の考え方に顧客満足度を取り入れており、実際サービス業などへの適用例も多い。
TQMの特徴は、企業のトップが制定した経営戦略を、ブレイクダウンして品質目標、顧客満足度目標まで落とし込んで全社的に展開することである。
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、TQMは多くのアメリカの企業で導入され、アメリカ復活の原動力の1つとなったとも言われる。日本では、バブル崩壊後の不況下で、アメリカの復活の原動力の研究の中で注目されるようになり、マネジメントという考え方が浸透するにつれてTQCが徐々にTQMへと置き換わっていった。
関連項目
総合的品質管理と同じ種類の言葉
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