給付要件・支給期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/29 08:39 UTC 版)
被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産したときは、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日後56日目までの範囲内で労務に服さなかった期間支給される(第102条1項)。 出産日は「産前」に含まれるので、実際の出産が予定日後のときはその遅れた日数分についても支給される。なお、1992年(平成4年)4月の改正法施行までは出産日は「産後」に含まれるとしていた(改正前は「出産の日前42日、出産の日以後56日」という規定であり、当初から出産日を「産前」と解していた労働基準法とのズレがあった。この改正により、出産の日が予定日より遅れた場合であってもその日数分出産手当金が支給されることとなった)。 支給を受けるにあたって、「労務不能」である必要はない(昭和8年8月28日保険発539号)。出産手当金は、被保険者に安んじて休養することができるようにという趣旨に基づくものであるので、被保険者が工場又は事業所の労務に服さない以上家庭で炊さん、洗濯その他家事又はこれに類する労務に従事することがあっても支給する(昭和9年2月22日決定)。 出産手当金の支給要件に該当する者が介護休業期間中であっても、出産手当金は支給される。ただし休業期間中に介護休業手当等の名目で報酬と認められるものが支給された場合は、出産手当金の支給額について調整が行われる。 出産手当金と傷病手当金を同時に受けることが出来る場合、出産手当金が優先して支給され、傷病手当金はその期間支給されず、出産手当金の額が傷病手当金の額より少ないときは傷病手当金はその差額が支給される(第103条1項)。出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金(差額分を除く)は、出産手当金の内払とみなす(第103条2項)。 双児出産の場合で、一児は9月24日分娩、他の1児は同月27日分娩した場合には、出産手当金は9月24日前98日、9月27日後56日以内において労務に服さなかった期間に対して支給すべく、なお、9月24日から26日までの期間をも支給すべきものとする(昭和5年1月14日保規686号)。 出産手当金自体は、健康保険法でいう「報酬」には該当しないため、出産手当金から保険料を控除することは認められない。 事業所の公休日でも、労務に服さない状態であれば出産手当金は支給する(昭和2年2月5日保理659号)。 出産手当金の受給権者が死亡した場合においてこれが権利はその者の相続人において承継する(昭和2年2月16日保理747号)。 船員保険の場合は、「出産の日以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)」は「出産の日以前において船員法第87条の規定により職務に服さなかった期間」となる(船員保険法第74条)。船員法第87条は妊娠中の女子の使用を禁じているので、実際には妊娠が判明した初日から給付が行われる。
※この「給付要件・支給期間」の解説は、「出産手当金」の解説の一部です。
「給付要件・支給期間」を含む「出産手当金」の記事については、「出産手当金」の概要を参照ください。
- 給付要件・支給期間のページへのリンク