精神医学および神経学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 16:30 UTC 版)
19世紀の終わりから20世紀前半にかけて活躍したフランスの精神科医P・ジャネは精神障害を持つ人々を了解的な立場よりもむしろ客観的な行動主義の立場から観察している。ジャネはまた"人間活動の低次型についての実験心理学的試み"という副題のついた『心理的自動性』L'Automatisme psychologique(1889)という優れた著作を公にし、チックなどの常同行動型についての考察を行っている。 他方ゲシュタルト学派の一人として今世紀前半に活躍した神経生理学者K・ゴルトシュタインは1957年に、生体の機能の本質が環境との相互関係によるものであるとし、脳損傷者の行動や症状も環境への適応が不十分なところから生ずる未分化な機能の現れであるとみなしている。この様なゴルトシュタインの考え方は、ゲシュタルト心理学とともに、認知や思考の基礎心理学に重要な影響を与えてきた。J・ダラードらが1939年に行った研究によると、攻撃はフラストレーションによって引き起こされ、フラストレーションは必ず攻撃を起こし、攻撃行動はフラストレーションの1つのカタルシスとして生ずるとされる。 フラストレーションが退行を引き起こすという仮説は、R・G・バーカーらによって1943年に提唱され、フラストレーション事態では行動は発達的に未分化な段階へ後戻りするという仮説が出された。行動の変化を尺度上の変化として捕らえたのはレビン派の優れた点である。これを彼は異常固定と名づけた。しかし、この仮説も学習論的に回避反応説や部分強化仮説から見直すべきであるという主張も行われている。フロイトによれば不安は症状そのものではなく、不安を避けるために症状形成がなされる。彼によると不安は苦痛反応の条件付けられた形態であり、苦痛刺激が生体に与えられると多少とも激しい防御反応が生じ、これが本来中性的な刺激と連合する。
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