精神力動学的な解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 04:52 UTC 版)
戦争や災害の被災者や凶悪事件等の被害者が、一時的に妄想状態に陥ることがある。これは、現実から遊離する事によって精神的なダメージを回避しているとみなすこともできる。統合失調症などの疾患においての妄想ですら、過剰なストレスが精神を破壊しないようにするため逃げ場であるという見方すらできる(ジョン・シュタイナー「こころの退避」参照)。但し安全装置という観点では妄想の代わりに衝動性が生じることもある(いわゆる、キレる状態)。 しかし安全装置であるとはいえ病的な方法であることには間違いなく、治療が必要である。そして、本人にとっては安全装置であったがゆえに、治療の途中で激しい抵抗に遭うことは珍しくない。それなりに安住の地であった妄想の世界から現実の世界を直視することは苦しみを伴うのである。ここでいかに本人のペースを尊重しつつ、希望や安心感を与えつつ現実と折り合いをつけてもらうかが、精神科医や援助者の力量が問われるところである。
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