精神分裂病概念の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 00:07 UTC 版)
「解離性同一性障害」の記事における「精神分裂病概念の影響」の解説
多重人格の診断名が消えたもうひとつの原因は、1911年にオイゲン・ブロイラー (Bleuler,E.) が精神分裂病概念(現在の統合失調症)を発表したことである。1920年代後半にはその診断名が浸透しはじめた。アメリカのローゼンハム (Rosenham,D.) によると、1914年から1926年までは診断名に統合失調症より多重人格の方が多かったが、それ以降は逆転する。そして1930年代からは多重人格という診断名は精神医学の世界から事実上消え去っていた。 それ以降DID患者に診断されたのがこの統合失調症である。実存主義哲学者としても有名なドイツの精神科医カール・ヤスパース (Jaspers,K.T.) は「了解不能」な症状は統合失調症と診断する決め手であるとした。幻聴や幻覚はまさにそれにあたる。実際ローゼンハムは1973年に、実験としてローゼンハム自身と8人の仲間がアメリカ各地の12の精神科病院に患者を装って訪れた。彼らは診察で「ドサッという幻聴が一時的に聞こえた」と訴えたところ、11の病院で統合失調症と診断され入院となったという(残りひとつの病院では躁うつ病の診断だった)。幻聴は統合失調症と解離性障害、従ってDIDにも共通する症状である。
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