精神と肉体の健康
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/13 06:50 UTC 版)
「ベンゾジアゼピンの長期的影響」の記事における「精神と肉体の健康」の解説
長期のベンゾジアゼピンの使用は、6ヶ月以上になると身体的、精神的な健康の悪化をもたらす。徐々の漸減を終えた後、3〜6ヶ月後には精神的、身体的に大幅に健康状態が改善された。ある研究では、徐々に睡眠薬から離脱した患者は断薬6ヶ月後に深刻な不眠・不安に見舞われることは少なくなり、ストレスが少なくなり健康の全般的な改善を感じた。睡眠薬を服用し続けた人々では、不眠、不安、健康状態に改善がなかった。この研究により、ベンゾジアゼピンから離脱した人は、医療と精神福祉サービスの利用の減少が示された。 パニック障害、社会不安障害などの不安障害のために精神福祉サービスを利用している人の約半数が、アルコール依存症またはベンゾジアゼピン依存症が原発性疾患だと思われた。幾つかの不安障害では、既存の疾患はアルコール依存症またはベンゾジアゼピン依存症であったが、アルコールとベンゾジアゼピンは、さらにそれらの不安障害を継続させたり徐々に悪化させた。アルコールやベンゾジアゼピン依存症の患者は、自身の精神疾患をそのままにするか、断薬して回復するかを提示された時に、アルコールやベンゾジアゼピンを断薬することを選んだ。特筆すべきことは、すべての個人はアルコールや鎮静薬についてそれぞれ違った敏感度があり、ある患者が病状なしに耐性を持つ量は、他の患者では病状が現れたり、適切な飲酒であっても反跳性不安や睡眠障害をもたらすことがあったことである。 アルコールやベンゾジアゼピンの害に苦しんでいる人は、それら根本の原因に対処しなければ、他の治療や薬物による利益を得ることはできない。ベンゾジアゼピン依存症からの回復は、アルコール依存症からの回復よりもずっと時間がかかるが、人々は以前の健康を取り戻すことができる。ベンゾジアゼピン系鎮静薬についての文献上の調査では、それらの薬物は個人や公衆衛生に対して許容できないリスクをもたらすと結論づけた。これらのリスクには薬物依存症、事故、その他の副作用がある。徐々の鎮静薬の断薬が睡眠の質を悪化させずに健康の改善につながる。 ベンゾジアゼピン離脱クリニックに参加した50人の患者での研究によれば、長期間のベンゾジアゼピン使用は、幅広い精神的・身体的な障害をもたらしていた。数年間の慢性服用患者では様々な精神的・身体的な問題を抱えていた。それらは広場恐怖症・過敏性腸症候群、知覚異常、不安の募り、パニック発作などで、既存の疾患ではなかった。長期的なベンゾジアゼピンの使用により誘発された精神的・身体的健康症状は、年単位の徐々のゆっくりとした断薬完了時に大幅に改善した。50人の患者は、事前の診断では多発性硬化症と誤って診断されており、それらの症状は慢性的なベンゾジアゼピン使用によってもたらされていた。10人の患者はオーバードーズ状態だったが、既存の疾患がうつ状態であったのは2人だけであった。年単位の離脱により、離脱後にはオーバードーズする患者はいなくなった。多くの患者について精神的・身体的な健康悪化の原因は、定常的に服用していたところに耐性の強化によって離脱症状が悪化したためだという説が提示された。もう一つの説では、慢性的なベンゾジアゼピン服用が毒性を出現させ、長期のベンゾジアゼピン服用者について精神的な病状を引き起こすと言われている。
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