粘土版 6
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 07:09 UTC 版)
凱旋し美しく身なりを整えたギルガメシュに、愛と美の女神イシュタルが恋をする。イシュタルは求婚を迫るが、ギルガメシュはイシュタルの愛人となった者たち(配偶神ドゥムジなど)の悲惨な末路を数え上げ、その不貞と残忍性を指摘し求婚を断った。 イシュタルは立腹し、ギルガメシュを殺害しウルクごと滅ぼすため、父アヌに聖牛グガランナを送ることを求めるがアヌは拒否する。イシュタルは冥界から多数の死者を蘇らせ、地上に生ける者を喰わせると言ってアヌを脅し、グガランナを造らせた。グガランナがウルクを荒らし大勢の人々が死にゆく中、ギルガメシュとエンキドゥはグガランナを倒しその心臓をシャマシュに捧げた。イシュタルは怒って城の頂からギルガメシュに向かって呪いを吐いたが、それに怒ったエンキドゥは牡牛の死骸(腿の一部)を投げつける。顔面を汚されたイシュタルは退き、嘆いた。ウルクは歓喜し、2人の英雄ギルガメシュとエンキドゥを称賛する。 その夜、エンキドゥは不吉な夢を見た。その内容をギルガメシュに語り出す。「何故、大神は会議を開いているのか」。 シュメール語版での題目は『ギルガメシュと聖なる牡牛』、古代の書名はギルガメシュを指す主語『戦闘の青年の』。 イシュタルはギルガメシュ凱旋の噂を聞きつけ、その様を見ようとエアンナからギルガメシュの王宮へ出向いたとする説もある(一目惚れではなく、元から知り合いだった)。 イシュタルと結婚することは「聖婚儀礼」に連結し、「神の座に就くこと」を意味する。物語はギルガメシュを半神と伝えながら常に人間の側に立たせており、神の座につくことを己の崩壊に結び付けたのだとしたら、ギルガメシュがイシュタルの求婚を受け入れなかったのは「自身の神格化を拒絶した」ということに等しいはずである。 ギルガメシュは牡牛を始末した後、ラピスラズリでできた角に入っていた約250リットルの油をルガルバンダに贈り、角の方は自身の寝室に飾ったという。シュメール版では異なり、ギルガメシュは牡牛の肉を貧しい子どもたちに分け与え、角はイシュタルに奉献された。
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