節電器商法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 09:35 UTC 版)
複数の被害者からの報告を基にすると、節電器の売り込みから破綻まではおおよそ以下のようなやり方が典型的なようである。 まず電話で「省エネルギー」「電気料金削減」について売り込みのアポイントメントを取る。対象者は、零細な個人事業主(小売店、飲食店、町工場など)が多い。 営業担当者が被害者の店舗(または工場)を訪問して、電力用回路計で簡単な測定(ブレーカーでの電圧と消費電流、力率など)をし、直近2~3ヶ月の電力料金の請求書を見せてほしいと要求する。 測定結果と電力料金請求書の数字を電話で営業所に報告すると、その場で「節電器を導入すれば毎月の電気料金が約30%も安くなる(数字は事例により異なるが例外なく「え、そんなに」と思わせる値である)」という返事が返ってくる。さらに「節電器の価格はX十万円だが、X回の分割払いにすれば毎月たったX円で、これは電気料金の節約分よりずっと安く、節電器を購入してもお釣りが来て、分割払い終了後は節約分が丸々儲けになる」と言われる。 なぜそんなに電気料金が安くなるのかを尋ねると、「オームの法則で電圧を下げれば電流も下がって電力が減る」と言う答えが返ってくる。 上記の数字を並べた「省エネ提案書」またはそれに類似した名称の書類が渡され、「節約率は保証する」「一日も早く導入しないと損だ」と購入を促される。 被害者が説得に押されて購入を決意すると、提携している信販会社と融資契約を結ばされ、受けた融資で節電器を購入する。 後日「節電器」が被害者の事業所に設置されるとともに、多くの場合インバーター型蛍光ランプや通電制御タイマー、水道の節水コマなどが「省エネ設備一式」として納入される。 納入後数週間から数ヶ月たった時点で、被害者は電力料金がちっとも安くなっていないことに気づく。それどころか、場合によっては電力料金が逆に増えていたり、使用している電気機器に不具合が生じるようになったことに気づく。 被害者から苦情を受けると、担当者がやってきて簡単な測定をして「節電器の設置・設定に問題はない」「さらに節電率が高まるように再調整した」「効果が出るまで時間がかかることがあるからもう少し様子を見てほしい」「あなたのところで以前より余計に電気を使うようになったのではないか?」などと言い逃れをする。 上記のやり取りを何度か繰り返した後、次第に担当者が居留守を使ったり、脅し文句を返すようになってくる。 解約・撤去・返金を求めると、「商人間の契約だから消費者保護法は適用されない」などと言って応じようとしない。 最終的な結末は事例により異なるが、大まかには(1)強硬に解約を求め解約成功、節電器の撤去、代金の一部返金、(2)解約を求めた民事訴訟、(3)泣き寝入り、などのケースに分かれる。
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