筋肉組織の形態学と微小解剖学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 03:49 UTC 版)
「腕 (頭足類)」の記事における「筋肉組織の形態学と微小解剖学」の解説
axial nerve cord(以降、ANC)は触腕柄の中心を縦に走り、横走筋 (transverse muscle)の大きな塊に囲まれる。この塊の中にある筋繊維の束は触腕の径を横断し、その前後軸と直行するように拡がる。横走筋繊維の束が周辺に向かって拡がるときに、それらは触腕の前後軸と平行に配列した縦走筋 (longitudinal muscle)繊維の束の間を通る。それらが触腕柄の外表面に至る際、横走筋塊の筋繊維の束の中には横走筋および縦走筋の中心部を取り囲む薄い輪走筋 (circular muscle)層の一部となって見られるものもある。輪走筋層は1対の螺旋状に並んだ筋繊維の薄層により囲まれる。内側の層と外側の層は巻き方に対置され、fiber angle(螺旋状の繊維と前後軸がなす角)はアメリカケンサキイカ Doryteuthis pealeii (Lesueur, 1821)では、触腕を縮小させたときの最大約67°から、触腕を完全に伸ばした際の最少約36°となる。螺旋筋 (helical muscle)の層は表層の縦走筋の層に取り囲まれる。 結合組織はANCを取り囲む層にあり、上記の様々な筋肉群の接合面に存在している。結合組織も様々な筋肉塊の中にある筋繊維の間に存在している。触腕柄を一周取り囲んでいるのは、色素胞、血管、そして神経を含んだ疎性真皮結合組織である。単層立方上皮および単層円柱上皮が触腕柄を完全に覆う。
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「腕 (頭足類)」の記事における「筋肉組織の形態学と微小解剖学」の解説
上記の触腕で述べたように、腕の中心軸に沿って前後軸に走るANCは横走筋塊に囲まれている。横走筋塊の筋繊維は腕の前後軸に垂直に扁平に並んでいる。これらの筋繊維の束は Graziadei (1965)により肉柱 (trabeculae)と呼ばれた繊維の薄膜として、縦走筋の束の間に拡がっている。口側と反口側の縦走筋の束の間を通った後、肉柱は繊維状結合組織の薄層に入り込む。側方に拡がる筋繊維の束は腕の斜走筋を取り囲む結合組織に入り込む。 腕の両側に位置する斜走筋 (oblique muscle) は口側と反口側の繊維性結合組織に起源し、そこに挿入されている。結合組織の繊維は交叉した繊維配列に並んでおり、その半分は右巻き螺旋を描き、もう半分は左巻き螺旋となっている。その繊維は腕の前後軸に対し72°の fiber angle をなしている。 斜走筋対の筋繊維はともに結合している結合組織の繊維と同じ fiber angle をなしている。そのため、斜走筋およびそれと結合する結合組織の層は筋繊維及び結合組織の繊維の右巻き螺旋と左巻き螺旋の複合体を形成している。 斜走筋とそれに結合する結合組織を取り囲んでいるのは、3つの縦走筋の束で、1本は口側に、残りの2本は側面に位置している。腕の反口側の表面は泳膜と呼ばれる前後軸に沿った鰭状の突起も含んでいる。泳膜の核心部は非繊維性結合組織から構成され、泳膜の横方向に拡がる散在した筋肉塊と 核心部を覆う薄膜として拡がる縦走筋繊維からなる。 吸盤列が腕の口側表面から突出しており、保護膜によって両側を取り込まれている。 腕は色素胞や虹色素胞、血管や神経を含む疎性結合組織の真皮に覆われている。単層立方表皮から単層円柱上皮がその真皮を覆う。
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「腕 (頭足類)」の記事における「筋肉組織の形態学と微小解剖学」の解説
タコの腕の筋肉組織は Graziadei (1965, 1971)により、吸盤内在筋組織 (intrinsic musculature of the suckers)、腕内在筋組織 (intrinsic musculature of the arms)、腕の筋組織と吸盤を結び付ける腕吸盤筋組織 (acetabulo-brachial musculature)の3つに分けられている。腕内在筋組織は従来、Octopus bimaculoides、Octopus briareus そして Octopus digueti で観察されてきた。 上記のような十腕類の腕と触腕のように、ANCは腕に沿って前後軸に拡がり、腕の前後軸に垂直な面に配列した繊維とともに横走筋塊の筋繊維を取り囲む。横走筋塊の筋繊維の束はほぼ直交して配列し、どちらも口側から反口側の表面に拡がるか、これに対し直角となって、左右に拡がる。口側から反口側表面に拡がる横走筋繊維の束は腕の口側と反口側で厚い交叉繊維結合組織の薄膜上にできる。その繊維の束は縦走筋繊維の束の間に拡がる肉柱という前後軸の薄膜中で腕の中心軸に向かって突出する。多くはANCを取り囲む繊維性結合組織の層上に入り込むか、腕の逆側の繊維性結合組織の薄膜上に入り込んで拡がる。腕の左右に拡がる横走筋繊維の束は腕の両側に位置する外側斜走筋を取り囲む結合組織で、縦走筋の束の間の肉柱という形で、または斜走筋を通る個別の束として縦走筋と斜走筋を通る。多くはANCを取り囲む結合組織上に入り込む。左右に走る横走筋繊維の束の一部は口側を通り、特に反口側ではANCに向かい、外側斜走筋を取り囲む結合組織上に入り込み逆側に拡がる。しかし、腕の長軸に対し垂直な横走筋繊維の方向はタコの種類によって一般的でないかもしれない。Feinstein et al. (2011) により、Octopus vulgaris の腕の横走筋繊維は腕の横断面に限定されないことを報告されている。 縦走筋繊維の束は横走筋の肉柱の間の腕の全長に拡がる。反口側部分の象限の横断面積は他の象限に比べ大きいにも拘らず、縦走筋繊維の束は横走筋塊の全方向に存在し、横断面の全周は縦走筋の束を含む。三日月形の縦走筋の層が中間斜走筋および外側斜走筋の間に存在する。 斜走筋繊維の3セットは 腕の両側に存在している。外側斜走筋は腕の内在筋を取り囲み、最も表面にある。中間斜走筋はその中間に位置し、上記の縦走筋繊維により外側斜走筋と分断されている。内側斜走筋は最も中心にあり、横走筋の核心部の両側に位置する。任意の斜走筋の巻き方は腕の反対側にあるその対となる斜走筋の逆向きである。加えて、任意の側で、外側斜走筋および内側斜走筋の巻き方は同じで、内側斜走筋の巻き方と逆になっている。外側斜走筋および中間斜走筋は口側および反口側の結合組織の薄膜上に起源し、そこに入り込んでいる。中間斜走筋および外側斜走筋の fiber angle はそれらが接着している繊維性結合組織の層のものと類似している。特に O. bimaculoides の平均の角度は 63°–74°である。内側斜走筋の繊維は明確な起源と挿入を示さず、代わりに縦走筋組織および横走筋組織と咬合して見られる。内側斜走筋の fiber angle は測定された種では平均42° から56°までの範囲であり、中間斜走筋および外側斜走筋の fiber angle に比べ小さい。 腕の内在筋を取り囲んでいるのは腕の周りを一周並ぶ繊維とともに輪走筋の薄層である。その層は腕の反口側で最も厚くなり、反口側の結合組織の薄膜と外側斜走筋を包み、口側の結合組織の薄膜上に入り込む腕の口側に向けて拡がる。
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