筆写譜の発見とは? わかりやすく解説

筆写譜の発見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/27 15:51 UTC 版)

オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲」の記事における「筆写譜の発見」の解説

20世紀初になってドイツ音楽学者オットー・ヤーン1813年1869年)の遺品の中から、それまで知られていなかったオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲筆写譜が発見された。ヤーンによる伝記『W.A.モーツァルト』の校訂であったヘルマン・ダイタースは1904年改訂出版の際、「この筆写譜は消失したフルートオーボエホルンファゴット管弦楽のための協奏交響曲編曲譜である」という説を発表した。この説が支持され根拠は、モーツァルト10月3日の父に宛てた手紙で、 ル・グロ氏は、それを独占しているつもりですが、そうは参りません。ぼくは頭の中にまだ生き生き入れてありますから、家へ帰ったら、さっそくもう一度書き上げます — 柴田 1980195頁 と記しているからである。 この説は広く受け入れられ1905年ケッヘル第2版ではこの筆写譜をオリジナル真正編曲みなして付録」を示す「Anh.9」の番号付し、さらに音楽学者アインシュタイン改訂した1937年第3版では「K.297b」という番号与えて作品目録の「本編」に組み入れた。しかしこの説では散逸したフルートオーボエホルンファゴット管弦楽のための協奏交響曲に関する史料比較検討した際に、なぜソロ編成フルートからクラリネット変更されたのかという疑問への説明がついていない。また、本作すべての楽章が同じ変ホ長調書かれているという重要な疑問点があり、筆写譜や伝記的状況クラリネットなどの用法詳細に検討した結果偽作可能性が非常に強いという判断下し1964年ケッヘル第6版では、「疑作、偽作」を示す「Anh.C14.01」という番号与えた。そしてオリジナル消息不明のままフルートオーボエホルンファゴット管弦楽のための協奏交響曲K.297Bとしてその存在だけが本編組み入れられた。本作モーツァルト真作と見る研究者もいるが決定的な証拠欠けているため、散逸したフルートオーボエホルンファゴット管弦楽のための協奏交響曲自筆稿の発見でもない限り真偽決定困難な状況である。 音楽学者フリードリヒ・ブルーメは 「……しかし作品由来はなお曖昧であるとはいえ、我々が所有している版の真憑性に対して早まった疑問投げかけることは、間違っていないだろうか。なぜなら、作品のどの部分にも――編曲版のどの部分にもというわけではないにしても――モーツァルトの手明瞭に認められるからである」 — 音楽之友社 1983318頁 という見解示している。

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